しあわせブータン便り第34稿「も」~「森」

ブータンにも冬がやってきた

ブータンの首都は肌寒い季節に入りました。ブータンに厳しい冬がやってきます。
ブータンでは暖房設備がまだまだ追いつかないところもあるので、冬は本当に厳しいです。

私がはじめてブータンを訪れたのは観光客としてでした。
2月下旬から3月にかけてできたが……ホテルも夜なんかは寒く、「あたたまってゆっくり寝てね!」と言われても、ブータンは、お湯は一日にその家庭あるいはホテルの部屋におかれたタンクの量しか使うことができないため(タンクを使い切ってしまうとその日はおしまい!)……・私は一人部屋でしたが、節約して使用していても、夜バスタブにお湯をためる量はとてもじゃないけどありませんし、シャンプーして、ちょっとあたたまったら……おしまい!です。

そんな状況なので、寒い部屋ではすぐにベッドにもぐりこみ、用意された湯たんぽ!を本当に抱きしめながら……でも、寒くて眠れない!という日々でした。

ブータン人はお風呂にあまり入りません。というか、シャワーも何日かに一回(?)程度です。冬に「私は2週間髪を洗ってない」という人もたくさんいました。毎朝、毎晩、お風呂に入る私が、彼らにとっては不思議な存在です。別にお湯のタンクのせいではなく、ブータン人はお風呂に入らなくてもあまり気にしません。

よくブータンでは「ドッツオ」という、熱した石を入れるお風呂があり、それに入る、とガイドブックなんかにかかれていますが……う~ん、お風呂に毎日入るなんてことはないですよ~。
しかも田舎でなければドッツオがある家なんて……。首都は完全にユニットバスです!それかお風呂がなく、お手洗いの横にたらいみたいなものが置かれています。ユニットバスがあっても、バスタブの中はいろんなものが入っていたりして……お湯につかる習慣は、実際は内容です。

さて、森のお話しです。ブータンの森を形容すると、「たくましく、威厳があり、男性的」だと、私はいつも表現します。日本の木々が凛として、幻想的で女性的な神秘性を持っているとしたら、ブータンはまさに逆です。
威厳がありすぎて、「ここから先は人間の場所ではないんだな」というのが伝わってきます。森は神々さまのもの、そして動物たち、植物たちのものだと実感せずにはいられません。

動物は本当にたくさんいます。野生のシカ、馬、イノシシ、さる、鳥たち……山深く進むと、もちろんトラもいるそうです。私はインドの国境近くで象もみました!野生ではないだろうけど。

ブータンの国道は山深いなかを進みますが、そこは動物たちの楽園で、彼らが主役です。「あっ、人間だね~」みたいな感じで、サルが行き来します。ブータンの国道はライトがないので、夜に車を走らせることはないですが、走らせたとしたら……たぶんすっごくたくさんの目がこちらを見ているかも!しれません。

森はもちろん植物がつくった楽園でもあります。季節の花々や実、なんと野生のラベンダーなんかもあるぐらい、とってもとっても豊か!
ブータン人と車に乗っていると、「あっ、ちょっとまって~」といって、キノコを山ほど採ってきて、「今晩たべよ~」なんてことになります。
そしてやっぱり自然だな~と思う事はなんでも大きいこと。蜂の巣も、これまで見たことがないほど大きくて、鋳肌にびっしりと大きなものが何十個もついていて……圧巻です!

ブータン政府が毎年発行している観光ガイドを見ると、「絶滅危機に陥っている動物たちが、ブータンに逃げてきている。」と書かれています。それもあるだろうな……と。動物たちは賢いですしね!

ブータンは、木を一本切るのにも政府の許可が必要です。そして、もし家屋の建設などの目的で木を切ったとしたら、その分は植樹します。ブータンの小学校には、「植樹の日」というものがあり、切った木の数だけみんなで植樹したりします。

「森は神様のもの」……その象徴として、今でも多くの山々が入山禁止です。人間が立ち入る場所ではないのです。また、トンネルもつくっていません。環境破壊ということもありますが、やはりブータン人の信仰心や共生を願う心の表れだと思います。

実際、ブータンは外貨がえられるほどの高級チーク材などがたくさん生えていますが、輸出はしません。世界的な経済的指標のなかでは貧しい地域に属するブータンですが、長期的な視点で人がどうすればしあわせになれるかを、きちんと考えられている国のような気がします。