愛すればこそ、生かそうとするのか。それとも……眠り続ける女を巡る、三つの愛の物語『眠れる美女』

愛すればこそ、生かそうとするのか。それとも……眠り続ける女を巡る、三つの愛の物語『眠れる美女』

『夜よ、こんにちは』(03)、『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』(09)など、実際の事件を独自の解釈で描き、世界を熱狂させてきた伊の巨匠マルコ・ベロッキオ監督による、イタリア全土を揺るがした尊厳死事件を元に、瑞々しく、鮮烈な愛の物語。

永遠のテーマ「命の尊厳」を問いかける名作

2009年、イタリア全土を揺るがすある女性の尊厳死事件が起こる。17年前、21歳で交通事故に遭い、植物状態となってしまったエルアーナ・エングラーロ。両親は延命措置の停止を求め、カソリックの影響が強いイタリアで、長い間裁判闘争を行なってきた。2008年10月に最高裁判所がようやくその訴えを認めたが、彼女の延命措置の停止を行う病院はなかなか見つからなかった。翌年2009年1月、イタリア北東部の町ウディネの病院が受け入れを表明し、2月にエルアーナはミラノからウディネへ搬送された。しかし、カトリック信者や尊厳死反対の保守層からの支持を集めるベルルスコーニ首相は、エルアーナの延命措置を続行させるべく、法案の強行採決を画策していた。

重病の妻を安楽死させた経験を持つ国会議員のベファルディは、17 年間昏睡状態のエルアーナの延命措置を続行する法案に票を投じるかで悩んでいた。延命停止に反対する彼の娘マリアは、ある兄弟と衝撃的な出会いを果たす。マリアは兄ロベルトに恋をするが、彼の弟はマリアとは反対のデモ団体に所属していた。
昏睡状態の娘を持つ著名な女優は、看病に専念するため女優のキャリアを捨て、奇跡を信じて神へ祈りを捧げ続けていた。一方、役者を目指す彼女の息子は、母の愛に飢えていた。
薬物中毒の女ロッサは自殺未遂を繰り返し、今度こそ死ぬ決心をしていたが、医師のパッリドによってそれを阻止される。医師は薬によって昏睡状態になったロッサの覚醒をひたすら待つのだが……。

「妻を看取った政治家とそんな父に不信感を持つ娘」、「昏睡する娘の目覚めを願う元女優」、「自殺願望のある女を救おうとする医師」……この三組の物語を同時展開し、生きる意味が浮き彫りになってくる。
物語に圧倒的な説得力をもたらしているのは、イタリアの至宝トニ・セルヴィッロ、カンヌ国際映画祭で2 度の女優賞に輝いたフランスの大女優イザベル・ユペール、ベロッキオの女神マヤ・サンサら豪華俳優陣だ。即興も取り入れた演技の応酬は、本作に圧倒的な説得力と臨場感をもたらしている。

大切な人が昏睡状態に陥ったとき、あなたならどうするだろうか。
三者三様の立場から、一人の女性の生と死を見つめる彼らの姿に、「“生きること”は、何が正しくて何が誤りなのだろう?」と感じずにはいられない。
ベロッキオは、そんな永遠の命題への答えを、深く温かい洞察力で多面的な視点から示唆に富む物語へと結実させている。

 

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『眠れる美女』
公式サイト: http://nemureru-bellocchio.com/
(c) 2012 Cattleya Srl – Babe Films SAS

監督・脚本・原案:マルコ・ベロッキオ『愛の勝利を ムッソリーニを愛した女』『夜よ、こんにちは』
出演:
トニ・セルヴィッロ『ゴモラ』『イル・ディーヴォ-魔王と呼ばれた男-』
イザベル・ユペール『愛、アムール』『3 人のアンヌ』
マヤ・サンサ『最初の人間』『夜よ、こんにちは』
ピエール・ジョルジョ・ベロッキオ、
アルバ・ロルヴァケル
ミケーレ・リオンディーノ
ファブリツィオ・ファルコ

【2012 年/カラー/スコープサイズ/35 ㎜/115 分/イタリア語/イタリア=フランス原題「Bella Addormentata」】
後援:イタリア大使館
特別協力:イタリア文化会館
提供:新日本映画社
配給・宣伝:エスパース・サロウ

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