神仏絵師のよろづ話:第十九話「どっちの浄土に行こうかな」

神仏絵師のよろづ話:第十九話「どっちの浄土に行こうかな」

美しい瑠璃(るり)の光に満ちた美しい世界
「東方瑠璃光浄土」

こんにちわ。神仏絵師の昌克です。おかげさまで「第2回 神仏画展」も盛況のうちに終わり、その後も溜まっていた用事を片付けていたら、こちらの掲載が後回しになってしまいました。気がついたら、もう9月になってしまって、我ながら驚きです。でも、この間も絵は描いていてましたよ~。まだ未完成ですが、公開しちゃいますね。三十三観音屏風絵に続いて、こちらも屏風絵仕様です。

この作品は、薬師如来様を中心にして、その左右に日光菩薩様と月光菩薩様。さらにその周辺を十二神将が取り巻いているという絵です。これは、薬師如来様が住む「東方瑠璃光浄土」を表現しています。「東方」とは、まさに私たちの住む世界から東を指し、美しい瑠璃(るり)の光に満ちた美しい世界だとされています。そのため、ここの主である「薬師如来様」は、「薬師瑠璃光如来様」とも呼ばれています。

私たちがよく聞く「極楽」とは、「西方極楽浄土」で、ここには阿弥陀如来様がいらっしゃいます。「浄土」とは「仏の住む世界」であって「死んだらあの世に行く」の「あの世」でもあります。温泉でお年寄りが「極楽、極楽」と漏らすのは、極楽が「最高」の場所であることに因るのは、言うまでもありません。
誰にとっても「死」は、恐怖です。たとえ現世が苦しく、そこから解放されると考えても、やはり「死」は、恐怖です。でも、そこから逃れる術は無く、受け入れるしかなかったでしょう。
今ほど寿命も長くなかった時代です。もっと死は身近な出来事だったはずです。
その時、宗教は救いになったのは間違いないでしょう。死を間際にして、死後には苦しみは無く、美しい世界に行けるのだと言ってもらえれば、信じたくなるのは当然ですよね。
ほんとは「死んだら」行くというのではなく、信仰の先に行き着く所なんですけどね。笑

ところで皆さんは、子供の頃に「悪いことをしたら『地獄』に行くぞ!」と教わりませんでしたか?
古くから宗教は、道徳心を育てる教科書として利用されてきました。その最も大きな役割は、前述したように「子供たち」への教育でしょう。とにかく手っ取り早く子供たちを叱る常套句として「悪いことをすると『地獄』に行く」と言うのは、とても効果的だったと思います。地獄には、こわ~い鬼がいて、針の山に登らされたり、血の池に入れられたり……ってだけで、子供は恐怖です。

ちなみに私がはじめて地獄絵図を見たのは、小学生の頃で、近くの公園だったと思います。そこで見たのは「くもの糸」という紙芝居でした。怪しいおじさんが、調子をつけた語りで、めくっていく紙芝居は、おそらく、どんな地獄絵図を見るより、リアリティがあったんじゃないでしょうか。今の子供たちには、味わえない世界って言うのが、残念です。
でも、今このエッセイを書いてて思いました。紙芝居も作ってみたいですね。もちろん最初は「くもの糸」です。でも、ちょっと原作とは変えるかもね。

ところで、今思えば、あの紙芝居のおじさんは、決して怪しい人では、なかったのですが……。

<Information>
神仏画展のスピンオフ企画「ぷち神仏画展」を「元気フェスタ」内(会議室A)で開催します。
日程/9月8日(日)11:00~18:00
場所/さくらホール(商協ビル2階)になります。(JR国立駅より徒歩2分)
行き方はこちら
http://ameblo.jp/palfan7/theme-10065965618.html