シェフ佐藤の食と自然治癒力PART.37~「青森・八戸地方の郷土料理 いちご煮」

化学調味料や食品添加物を減らそう

現代の食生活は、化学調味料や食品添加物が使われている即席味噌汁などのインスタント食品を摂る傾向にあるように思われます。化学調味料や食品添加物の過剰摂取は、生活習慣病やアレルギー疾患の原因といわれており、近年増え続けている花粉症の原因の一つにも挙げられています。これらの疾病を招かないためにも、日頃から身体に安全な食事を心がけたいものです。

今回は、八戸地方に伝わる郷土料理「いちご煮」を紹介します。いちご煮とは、新鮮なウニと鮑をふんだんに使うお吸い物で、乳白のスープに浮かぶウニが朝もやにかすむ木いちごのように見えることから名付けられました。

この料理は、その昔漁師が夏場に水で薄めた海水とウニ、鮑を大鍋で煮て食べていたことが始まりです。元々は、漁師料理だったのが、大正時代に八戸市内の旅館でいちご煮を料亭料理として出すようになって以来、八戸地方の郷土料理として広く知られるようになりました。

一般的ないちご煮のレシピは、塩・日本酒少々で薄味にした昆布だしにウニを入れて、さっと煮てから少量の醤油で味を整えます。きざんだ青じそをあらかじめお椀に入れ、そこにいちご煮を注ぎます。贅沢な磯の香りが楽しめ、スライスされた鮑は岩肌のように、青じそは岩の上で苔むしているようにも見えます。私は、青じその代わりに梅じそを使うのが好きです。

現在は、全国でいちご煮の缶詰が売られているようですが、そのほとんどが化学調味料や食品添加物が使われており、ウニは国産のものではなく、ツブ貝が代用されているようです。いちご煮は、家庭でもできるおもてなし料理なので、新鮮なウニや鮑が手に入るようでしたら、ぜひ無添加のいちご煮をつくってみてはいかがでしょうか。

【作り方】

1.鍋に昆布だしを入れ、沸いてきたら自然塩・日本酒を少しずつ入れ、薄味にしておきます。
2.好みの量の生ウニを鍋に入れて、とろ火にしておきます(この時、ウニからも塩味が出るので味をもう一度みてみましょう)。
3.お椀に入れる前に生醤油をほんの数滴加えます。きざんだ梅漬けのしそと鮑のスライス4切れを入れて2のスープとウニを入れたら出来あがり。