あなたの霊性を高めるレシピ。代替療法翻訳家・上野圭一先生インタビューPART.3

大切なことは失って気づくもの
ありがたいと感じることが霊性の根本

― 「今ここ」に生かされていることを当たり前に感じてしまうことは、多くの人がそうかもしれません。

上野:
話をすることも、普通に息を吸えることも、ものを考えたり、声が出たり、歩けたり食べたり飲んだりすること自体が、本当に信じられないほどの奇跡の積み重ねによって成立していますよね。病気の経験がある人は誰でも実感すると思うけれど、このシステムがたった一つ狂うだけで、今まで当たり前だったことができなくなる。できなくなって初めて、すごく大事なことだったと気づくのですが、今こうしてできる間に、それがありがたいことで、またとない恩寵であり祝福であり、奇跡の塊であると思える心の在りようが霊性だと思うのです。

ワイルさんが繰り返し言っているのは、英語で「スピリット」という言葉の本当の意味は、ウイスキーとかブランデーなどの「蒸留酒」が一番近いということ。つまり、蒸留を繰り返して、そのエッセンスが残ったものは、香りも立ってるし、香りは目に見えないもだけど、身体に入るとアルコールの作用で気分や意識が変容してくる。それがスピリットの言葉の元の意味だそうです。

霊性に目覚めることで、病や死を受け止めることができる

上野:
ですから、絶えず自分が今生きて何かしていられることに対して、ありがたい、滅多にない、こんな奇跡的なことを与えていただいて、本当にありがとうという気持ちに立ち戻る態度を持ち続けることが、霊性を高める基本だと思うのです。そういう気持ちを持たずに知識として霊的なことを言ってみても、それは単なる知識でしかないから、あまり実効がないと思うのです。

つまり、いざ自分が大病をしたり、家族が亡くなりそうになった場合に、対応できなくなってしまうと思うのです。霊性を高めれば、いざという時にちゃんと対応できる。もともと自分がどこかからやってきて、この地上で奇跡のように限られた時間を過ごして、そしてまたどこかへ行くのだというストーリーが自分のなかでしっかりできていれば、恐怖感も随分少なくなるだろうし、受け入れることができるでしょう。

一輪の花の美しさに気づく、美に感動する心を育てよう

上野:
ワイル博士の「心身自在」という、8週間で免疫を高めるハウツー本があるのですが、そのなかで「スピリチュアリティ」という項目を見ると、たとえば毎日花を生けるとか、こだわってぐずぐずしていた人を思い切って許してしまうなど、霊性を高めるトレーニングのレシピが出ています。

いかにもアメリカ的ですけど、やはり効果があるんでしょうね。花をまったく部屋に飾らないよりも、野の花1本でもいいから、イキイキした花を毎日飾って楽しむだけの心の余裕を持つということで、霊性に対してオープンになっていく。1輪の花でもじっくり眺めれば本当に驚異的な美しさを持っています。僕は昔から16倍のルーペを持ち歩いているのですが、これで花や虫を見ると、全然違う世界が見えるのです。

美に目覚めることは、霊性に目覚めることと同じ。なぜなら、自然であれ人工物であれ、それを美しいと感じる心が霊性への扉を開いてくれます。美に打たれた時に、ハッとしたり、ウワ~って声が出たら、それが霊性への入り口だと思うのです。

~了~

 

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【Profile】
上野圭一先生
ホリスティック医学協会副会長・翻訳家・鍼灸師。癒しと憩いのライブラリー館長。統合医療の第一人者アンドルー・ワイル博士のベストセラー『癒す心・治る力』を始め、さまざまな代替療法書籍の翻訳を手がける。
http://www.libraryhr.org/

<information>
上野先生が館長を務める「癒しと憩いのライブラリー」が、7/27(土)より伊東サザンクロスリゾート内でオープンします!
現在、蔵書寄贈を募集中。詳しくはコチラ

◆「癒しと憩いのライブラリー」 http://www.libraryhr.org/
場所:静岡県伊東市吉田1006 サザンクロスリゾート内

オープン日には、「癒しと憩いのフェス2013」を同時開催。上野先生の講演のほか、帯津良一先生の講演や、ヨガやヒプノセラピー、WATSU(ワッツ)などの体験型ワークもあります。

◆「癒しと憩いのフェス2013」
日程:7月27日(土)~28日(日)
http://iyashi-ikoi.org/

Photo: Mitsuyoshi Ryo