「不妊治療を続けていくためには、夫婦の絆、理解、愛情が大切です」セントマザー産婦人科医院院長・田中温先生PART.1

6~7組に1組の夫婦が悩んでいるという不妊。その不妊治療において世界レベルで知られているのが、セントマザー産婦人科医院院長の田中温先生です。今年8月の「癒しフェア2013 in TOKYO」においても講演をされる田中先生より、産みやすい身体づくりのためのメッセージをいただきました。

治療中こそ、何か打ち込めるものを見つけて
自分の心を鼓舞していきましょう

結婚する前から子どもができないと考えて結婚する人はいないでしょう。誰もが結婚して数年たてば、自然に子どもができると思っている。ところが、いざ蓋を開けてみると6~7組に1組は子どもができない。これが現実です。

「誰もができることができない」。これを克服するのは、大変なことです。子どもの成長を考えてみてください。大きくなるにしたがって、立つ、歩く、しゃべる、そして学校に行くのが普通ですね。でもなかには、歩けない、しゃべれない、見えないお子さんもいる。それを、普通と同じようにするのが、どんなに大変なことかは、すぐに想像できるでしょう。不妊治療を成功させて、子どもを授かるというのは、それと同じくらい、大変なことなのです。

昔は子どもができないと、すべて「女が悪い」と言われました。そのため、不妊治療を行う婦人科は女性がほとんどで男性は来ませんでした。今はインターネットの普及でいくらでも情報を得られるので、不妊の原因についても皆さんよくご存じです。子どもができないことを夫婦単位で捉えていて、カップルで来院する。「結婚して2年経ってもまだ子どもができない。じゃ、検査行こうか」という感じで、男性が婦人科に来ることに特に抵抗はなく、むしろ男性のほうから病院に行こうと言っているように感じます。ここ数十年の大きな変化ですね。

医療のなかで、患者本人だけでなく夫婦2人が必要というのは不妊治療以外にありません。つらい不妊治療を続けていくためには、夫婦の絆、理解、愛情が大切です。仲がいい夫婦というのは、互いに協力的ですし、赤ちゃんができやすいのは間違いない。しかし、不妊治療を続けるうちに、気持ちがすれ違ってしまう夫婦が多いのも事実です。
夫と色々話し合うのは、最初のうちはいいのです。ただ不妊症というのは突き詰めていくと、最後は必ず離婚の話になってしまう。不妊治療は、お金や時間など、たくさんのものを犠牲にしますから。それに、女性にある母性本能が男性にはない。ここが決定的な違いです。「子どもが欲しいから不妊治療を続けたい」という女性の切なる願いを男性に理解しろと言っても無理なのです。

不妊治療において妻が夫のサポートを受けることは重要ですし、それなしには続けられませんが、逆に妻のほうがやる気をなくしてしまうこともあります。そうなったらもう、夫がいくら頑張れと言っても、どうしようもない。子どもを宿す本人が途中でつぶれないために、前向きでやる気を失わずにい続けるために、不妊治療中こそ、不妊治療以外に何か打ち込めるものを見つけ、自分の心を鼓舞する方法をぜひ身につけてほしいと考えています。

【Profile】
セントマザー産婦人科医院院長 田中温
85年日本初のギフト法による児誕生に成功。現在は良い卵を育てる方法の検討や円形精子細胞を用いた顕微授精に力を注ぎ、日々の診療にあたっている。不妊症治療のゴールは妊娠ではなく出産であると考え、お産に関するサポート体制はもちろんのこと、アロマセラピー、漢方、遠赤外線医療など、身体に負担の少ない代替療法も多く取り入れている。

セントマザー産婦人科医院  http://www.stmother.com/

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Text:Izumi Sakauchi