女性のクールビズ対策問題で注目された「化学物質過敏症」とは?

今年も猛暑が予想される夏。ついにクールビズが女性にも及びました。先日、環境省が提案した女性のクールビズのなかに、「清涼感を与える香り付きの柔軟剤を利用する」ことや、「制汗剤や汗ふきシートの活用」が入っていましたが、市民団体などから香料などの化学物質による体調不良への配慮がないとして撤回を求め、環境省がこれらの使用推奨を撤回するという事態が起きました。

TRINITY WEBをご覧のみなさんはこういった、化学物質については敏感な意識をお持ちの方たちが多いかもしれませんが、今回のことをきっかけに国がその影響を認めて撤回してしまう「化学物質」による体調被害について改めて考える人も増えたのかもしれません。

増え続ける化学物質過敏症

NPO法人化学物質過敏症支援センターのホームページを見ると、まず化学物質過敏症というのは、「さまざまな種類の微量化学物質に反応して苦しむ、化学物質過敏症(Chemical Sensitivity=CS)。重症になると、仕事や家事が出来ない、学校へ行けない…など、通常の生活さえ営めなくなる、極めて深刻な“環境病”です」と説明されています。

その主な原因となるのが、
・シックハウス症候群などを招く、室内空気汚染物質(ホルムアルデヒドなど)
・殺虫剤などに使われる有機リン酸系農薬。
この2つが、化学物質過敏症の約80%を占めているそうです。

それ以外にも私たちの身の周りにはさまざまな化学物質が使用されています。そのなかの一つとして、今回の女性クールビズで問題となっているのは人工香料です。柔軟剤や制汗スプレーの香りは一見心地いいものですが、元はれっきとした化学物質。化学物質過敏症症の人にとっては匂いを嗅ぐだけで具合が悪くなったりすることもあるそうです。化粧品にも香料などさまざまな化学物質が使用されています。

化学物質は私たちの生活を取り囲んでいる

自分は化学物質過敏症じゃないと思っていても、日々化学物質に触れ、それが蓄積されていくことで突然重篤な症状が出ることもあるといいます。症状は人によってさまざまなですが、皮膚が荒れる・ただれる、鼻水が出るといったものから、呼吸が辛くなる、頭痛や手足のふるえといった神経に及ぶものまであらゆる症状が起きる可能性が。たとえば、背中のニキビがずっと治らなかった人がシャンプーを化学物質の入っていないものに変えたら治ったという話もありますから、なかなか治らない不調の原因をひも解く一端として「化学物質」を考えてみる必要があるかもしれません。

日常生活もままならない化学物質過敏症を発症してしまうと、外を歩くことも困難になります。私たちの生活には、本当に怖いくらい多くの化学物質が入り込んでいるんです。今回のクールビズ問題では、香料を始めとした化学物質がたくさん入った製品の使用を推奨することで、化学物質過敏症の人たちが日常生活を送りづらい環境になることに配慮したもの。

実際、香水などの化粧品関連、衣料用洗剤、防臭・消臭剤、ボディケア用品、芳香剤といったものは、化学物質過敏症の約80%の人が反応を引き起こすことがアンケートでわかっているそう。

冬は、湯たんぽやくつ下、生姜など自然のもので身体を温める方法がたくさんあります。一方で、身体を冷やす、暑さ対策を自然のもので行うというのはまだまだ少なく、化学物質の使用が増える季節のようです。特に制汗スプレーなどは、肌に直接触れるものですし、制汗剤にはアルツハイマーとの関連も叫ばれているアルミニウムが使用されているものも多く、使用をできるだけ控えたいものの一つ。アロマなど自然素材のものを使う、小まめに汗をふくといった基本的なケアを心がけたいものですね。

参考サイト  http://www.cssc.jp/index.html