ブータンしあわせ便り第30稿「ほ」~「ほたる」

ブータンの自然の素晴らしさ

ブータンとご縁があって、もう4年が経ちました。ふとブータンという国を知り、観光客として訪れ、そしてさまざまな……家族と呼べる仲間にも出会いました。つくづく人のご縁って不思議です。

よく「ブータンで一番何が感動したの?」と聞かれることがあります。いま思い出せば苦労話は笑い話ですし、たのしい話をあげればきりがありません。けれどいつも一番にこたえることは、「日本人の真摯さ」と答えます。そういえば以前もこのしあわせ便りで、なにもない(言葉通り何もない)山奥で作業に励む日本人を目にしたときの感動を書かせていただきました。 「あとは?」ということなんですが、これはほとんど「自然」にまつわる事が多いです。

たとえば、ブータンは田舎といっても第二の都市でさえ、毎晩かならずといっていいほど、停電します。これはホテルでも、一般家庭でもどこでも。ですからブータンの携帯電話にはアプリをダウンロードしなくても必ず「懐中電灯」機能があります!田舎なんかにいくとこの停電は一日何度も起こりたまったものじゃありません。私はよくお風呂に入っていた時間に停電に合い、シャンプーがついたまま、必死に携帯電話を探し、タオルを巻いたまま、じーっとしていましたお風呂のお湯も電気だと冷たくなってしまいます。

そんなブータンである夜の事、友達とワインを飲みながら楽しくおしゃべりしていると、また停電してしまいました。「あ~」……もういつものことだからこれ以上の会話はなしで、ブータンには必ず供えてあるろうそくをつけようとしたその瞬間、「ブータンはね、先進的な技術はないけど、ナチュラルライト(自然の電気)ならたくさんあるんだよ」……友達が部屋にいるほたるを指さし言いました。そのときはちょっと感動しちゃいました。部屋だけではなく、外に行けばたっくさん蛍がいたのですから。
ほたるたちが庭を飛び交う光を目で追っている瞬間、「ブータンに来て本当によかったな」と感じました。やっぱり自然って心惹かれるものですね。

そしてもうひとつ、この、「光」にまつわることでブータンに来て本当によかったな~と思った出来事があります。
ある夜、これは別の友達の家でおしゃべりしていたら、「ねえ、素敵なものを見せてあげる。お庭に出て、ちょっと寝ころばない?」と。
デッキチェアを引っ張り、寝ころぶと……なんと満天の、なんというか、言葉通り満天の星たち! 天の川はもちろん、星でいっぱいの夜空。そして寝転がっていると、「地球は丸い」、ということが本当によくよく感じられました。「天」を感じるというんでしょうか、自分が宇宙の一部であり、地球という天球に包まれていること、天や宇宙と一体になること……そんなことをドーン感じたのです。なんだか自分が小さなというよりも、すべては同じものという強烈な一体感が感じられて、最高に幸せでした。

残念ながら首都に行くと人口の灯りが多くて、山奥のホテルで灯りが少ない場所でないと星はそんなに見ることはできません。
ちょっと田舎で是非体験してみてください! きっとあたたか~い、やさし~い、おおき~な気持ちになれますよ。

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