果たして“真実の愛”はあるのか?~ベン・アフレック主演『To the Wonder トゥ・ザ・ワンダー』

『天国の日々』『シン・レッド・ライン』 テレンス・マリック監督最新作

この幸せな時間は永遠に続くのだろうか?
“愛の移ろい”を映し出す残酷で切ない愛の物語
物語はフランス西海岸に浮かぶ小島、モンサンミシェルで幕を開ける。
アメリカからやって来たニールは、そこでマリーナと出会い、互いに深く愛し合う。しかし、アメリカへ渡り、オクラホマの小さな町で生活を始めたふたりの、幸せな時間は長く続かなかった。マリーナへの情熱を失い、やがて幼なじみのジェーンに心奪われるニール。そして、彼との関係に苦悩するマリーナはクインターナ神父のもとを訪れる。
愛とは何か?
永遠の愛は可能なのか?
愛は彼らの人生を変え、破壊し、そして彼らを新たな人生に向き合わせる。激しく燃えた愛が、次第に熱を失い義務感や後悔へと移ろうさまを、マリックはモンサンミシェルやオクラホマの広大な景観の中に映し出していく。真実の愛の物語ははかなく、残酷で、だからこそ切ない――。

壮大なスケールと息をのむような美しさ

ビジュアルとサウンドが織り成す“究極の映像体験”
アカデミー撮影賞を受賞した『天国の日々』を始め、その壮大なスケールと息をのむような映像美によって人々を魅了してきたマリック作品。『ニュー・ワールド』(05)、『ツリー・オブ・ライフ』に続き、撮影監督にエマニュエル・ルベツキを起用した本作でも、フランスで“西洋の驚異”と称されるモンサンミシェルの光や風が、あるいはオクラホマ州バートルズビルの荒涼とした自然や家並みが、スクリーンにまばゆく描き出される。ワーグナーやチャイコフスキーの楽曲を使用した音楽と共に、そこに織り成される究極の映像体験は、圧倒的な美しさで観客の心を揺さぶる。

 

ニール(ベン・アフレック)とマリーナ(オルガ・キュリレンコ)はフランスの小島、モンサンミシェルにいた。
故国であるアメリカを離れ、フランスへやって来た作家志望のニール。彼はそこでマリーナと出会い、恋に落ちる。10代で結婚し娘のタチアナをもうけたマリーナは、ほどなくして夫に捨てられ、いまや望みを失いかけていた。そんな彼女を闇から救ったのがニールだった。光の中、手をつなぎ、髪に触れ、愛し合うふたり。入り江に浮かぶ修道院を背に、潮騒を聞きながら、ニールは彼女だけを生涯愛し続けようと心に誓う。

「あなたとならどこへでも。一緒に過ごせればいいの」

2年後、彼らはアメリカへ渡り、オクラホマの小さな町バードルズルで暮らしていた。ニールは故郷にほど近いこの町で、作家になる夢をあきらめ、環境保護の調査官として働いている。マリーナにとって、そこはとても穏やかな場所だった。愛さえあれば他に何もいらないと思った。前夫と正式な離婚手続きをしていないため、決してニールと結婚できなくても。
「私たちを包む愛とは? どこからともなく訪れる、あらゆる方向から」

ニールはタチアナを実の娘のように愛した。タチアナもまた彼によくなついた。しかし、故郷から離れたその土地で、タチアナは友だちに恵まれずいつもひとりだった。彼女はマリーナに言う。「もうフランスへ帰ろう」
カトリック教会の神父、クインターナ(ハビエル・バルデム)は救いを求める人々に布教を行っている。町の人々に溶け込み、皆から親しまれるクインターナ。マリーナもニールとの関係を相談しに、彼のもとを訪れていた。しかし、クインターナは苦悩を深めていく。神はどこにいるのか? なぜ神は自分の前に姿を現さないのか?
「すべての人間は神に背いている」

愛は移ろう。そして真実の愛とは一体何なのか?
真実の愛を探し求める彼らに、神は果たして手を差し伸べるのだろうか。

『To the Wonder トゥ・ザ・ワンダー』http://www.bcny.jp/
8月、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

キャスト
ニール         ベン・アフレック
マリーナ  オルガ・キュリレンコ
ジェーン   レイチェル・マクアダムス
クインターナ牧師  ハビエル・バルデム
タチアナ    タチアナ・チリン
アンナ     ロミーナ・モンデロ
セクトン    トニー・オーガンズ
2012年/アメリカ/112分/カラー/英・仏・西・伊語/シネマスコープ/5.1ch
原題:TO THE WONDER/字幕:丸山垂穂
(c)2012 REDBUD PICTURES, LLC
提供:東宝、ロングライド
配給:ロングライド
宣伝:クラシック