神仏絵師のよろづ話:第十五話「その正体は仏の母・准胝観音様」

神仏絵師のよろづ話:第十五話「その正体は仏の母・准胝観音様」

准胝(じゅんてい)観音様

こんにちわ。神仏絵師の昌克です。七観音の最後を飾るのは、准胝(じゅんてい)観音様です。准胝とは「清浄」という意味で、清らかな観音様の御心を表しています。実は、この観音様、もともと「准胝仏母」と呼ばれ、仏様の母とされていました。そもそも観音様ではなかったのです。その後、観音様となったものの、ルーツである「仏母」と言う名から、子宝や、安産の願掛けの対象とされてきました。

また、別名「七倶胝仏母(しちくていぶつも)」といい、七倶胝とは、七億と言う意味で、ほぼ無限大の母性を表しているのです。

観音様と言えば、その母性的・女性的なイメージは、あたり前だと思っている方は多いと思いますが、実は、観音様は女性ではないとしたら……。

さて、ここで改めて「観音様」の性別について書いてみたいと思います。実は、「観音」という尊名は、実は「男」をさしているのです。従って「観音様」の絵や、仏像の中には、明らかに男性であったり、中にはヒゲがはえていたりする観音様がいらっしゃいます。「え〜〜〜!ずいぶんイメージと違う!」と思う方も多いのではないでしょうか。でも、古ければ古い作品ほど、観音様=男性という表現は如実に表れているのです。

では、なぜ女性っぽくなっていったのか。その姿の美しさから徐々に女性っぽくなっていったと考えられるのですが、やはり見逃すことができないのが「地蔵菩薩様」の存在だと思われます。観音様も、お地蔵様も、慈悲の心をもって我々を救済にこられました。そして、同じように広まっていったのですが、お地蔵様は「僧侶」の姿が一般的でしたので、男性っぽく伝わりました。だからこそ、双方の違いを明確にする上で、美しい姿として描かれた観音様の方が、女性っぽく認識されていったことは、想像に難しくありませんよね。

それだけでなく「慈悲・救済」のイメージが女性的・母性的であり、女性イメージへとつながりやすかったことは想像に難くありません。また「天照大神(アマテラスオオミカミ)」に代表されるように、古代からの「女神信仰」もその背景にあったことは、無視できないでしょうね。

さきほど、観音様とは、男性の尊名であると書きましたが、そもそも「准胝観音様」の「准胝」とは、女性をさす名前なので、七観音の中でも、この観音様だけは、はっきり女性であるとされているのです。でも、この観音様は、女性で、他の観音様は男性なんて、受け入れる方が難しいと思うのです。結局は、自分たちに都合のいいように、わかりやすい部分だけを受け入れるってところは、さすがに人間のたくましさだと思います。

さらにその背景には、観音様をはじめ、聖母マリアにしろ、天照大神にしろ、女性・母性的なものから受けとる絶対的な「愛」こそが、誰にもわかりやすく、信じやすかったのでしょうね。

いつの時代も「母は強し」と言ったところでしょうか。

 

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