「語り合って分かり合える英語圏の常識」。世界から見た日本とは?中野裕弓さんインタビュー PART.2

「語り合って分かり合える英語圏の常識」。世界から見た日本とは?中野裕弓さんインタビュー PART.2

言わないことは、思っていないことと同じ

―外国人とのコミュニケーションというと、英会話の上達が課題になる人も多いと思います。

中野さん
「日本人は英語を中学から6年も学ぶのに残念ですよね。英語のアプローチも変えたらいいと思います。テレビを観ていても、面白い英語の番組はいっぱいありますよね。
そういうのを観て、怖がらずに英語を使ってみるといいと思う。特に欧米は“しゃべってなんぼ”という世界。思っているだけでは通じない。口に出さないと、思ってないと理解されてしまうというのが英語圏の常識。私も当初、世界銀行で苦労しました。

たとえば誰かが熱く議論しますよね。“それについてどう思うか?”と聞かれた時に、“I agree.”“I disagree.”だけでは足りなくて、そこからまた自論を展開するんですよ。つまり同じことを言っているだけなんだけれど、何であんなにしゃべるのかと。もう議論をやめてさっさと部屋に帰ってレポート書いた方がいいでしょと思うぐらいしゃべるけど、欧米の人たちは語ることによってお互いを分かり合えるんですよ。“一を聞いて十を知る”というようなお互いを慮る文化はないんです。

日本人は“一緒に行きませんか?”と尋ねた時に、“ハイ!”と“……ハイ”という微妙なニュアンスで違いが分かるでしょう? でも西洋人は理解できないんですよ。どちらも同じ。“イエス”でしかないから。その代わり“イエス”と言ったことに対して責任を持つ。だから文章や言葉の力が強くて、“あの時言った”“言わない”で、弁護士さんが必要なんです。日本で暮らすのにそれほど弁護士さんが必要ないのは、何となく分かり合えるから。たとえば、お隣に回覧板持って行った時に、奥様がフレンドリーじゃなかったから、私は関わらない方が良さそうだわって思うでしょう。そういう繊細さが日本人にはあるけれど、それだけでは世界では通用しなくって。
よく日本人は“Yes,Yes”って言うけれど、日本人がYesっていうのは、I hear youなの。聴きましたよ、と。それを外国の人は、Yes I agree.と勘違いしちゃう。そんな細かいことがたくさんあるけれど、少しだけ変えれば、誤解なく伝えられると思いますよ」

本音と建て前で、日本人同志も分かり合えていない?

―英語よりもコミュニケーションが大切ですか?

中野さん
「そう。それは日本語でも同じだと思います。コミュニケーションの大切さに気づかないと、日本人同士でも分かり合えないでしょう? なぜなら、本音と建て前を使い分けてしまうから。“どうぞ”と言われたから“ありがとう”と受け取ると図々しいって思われちゃったりね。言葉を額面通りに受け取っていいのかな?とか、思い図る文化が実はコミュニケーションをより複雑にしているんですね。そして本音は隠して、世間体と建て前と常識で生きるようになっちゃったから、日本人同志でも分かり合えないですよね。それは変えていくと良いと思います。嫌なものは嫌。良いものは良いと、真っ直ぐに、かつ思いやりをもって言えるようになるために必要なのがコミュニケーションなの。どういう言葉を使って伝えるかということです」

~続く~

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世界銀行時代の中野さん

Profile:
中野裕弓さん
『世界がもし100人の村だったら』訳者。世界銀行本部に日本人初の人事マネージャーとしてヘッドハントされる。著書に『世界でいちばん自分を愛して』(日本文芸社版)、『朝一番の、ちょこっとスピリチュアルな習慣』(メディアファクトリー)ほか多数
中野裕弓さん公式HP  http://www.romi-nakano.jp/


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