「あなたはだあれ?」~肉体でも肩書きでもない、本当の「私」を探す方法 PART.9

「私」はいない

この「私探しシリーズ」も9日目になりました。前回、「私とは全てである」と言いましたが、それなのに今回のタイトルは「私はいない」? そろそろ混乱もピークかも知れません。でも、ブッダも伝えたことはただ一つ「無我」です。「私なんていない」ということを伝え続けたんですよね。

あなたが、「私とは、この身体である」と言い、【この身体】こそ、「私」だと思ったとしましょう。ただ、認識された【この身体】を、認識している側に本当のあなたが居るはずなので、あなたは、【この身体】ではありません。そしてもしも、この世にあるものを【特定の何か】と【特定の何か以外の全て】の二つに分類出来るのなら、【この身体】と【この身体以外の全て】に二分出来ます。

①いま、本当のあなたは、【この身体】では無かったので、【この身体以外の全て】こそ、本当のあなたになります。
しかし、普段あなたは、「この身体こそ、私である」と思っているのだから、
②【この身体】もあなたになります。
ということは、この世の全て(①+②)は、「私である」になります。

前回そう言いましたし、これは間違っていません。真理です。あなたは、全てです。ただ、【この身体以外の全て】が私だと、本当に思えますか? たぶん思えないはず。

思えない理由は簡単。
この世にあるものを、【○○】と【○○以外】の二つに分けるという前提が、そもそも破綻しているからです。この世にあるものである時点で、私に認識された後のものだから。この世にあるものは、すべて私が認識出来るのです。だから、すでに認識された後のものを、二分しても意味がないのです。【私】以外のもう一方の【この世にある私以外の全て】も、すでに本当の私によって、認識された後の、認識対象物だから。そこにも、真の私はいません。ということは、本当の私は、【この身体】も認識しているし、【この身体以外の全て】も認識している。「もっと、別の場所にいる。全ての全てを、認識できる場所に!」

そう考えると「私以外の全てとして、私を見るメソッド」はまったく意味がないのでしょうか? 意味はあります。インドの聖者であるマハルシが言いました。「“私はこれではなく、それである”と思うことは自己の探求に役に立つ」と。だから、「あなたは、あなた以外のすべてだ」と言う思考法はぜひ実践してください。「私」を、私以外の全ての目で観察し続けるべきです。実際僕自身も、私以外の全てとして私を見つめた時に凄い感覚に包まれました。

ただ、もう一歩が足りません。なぜなら、認識された後のこの世を二つに分けているから。「この私」では無いぞという目で世界を見ることは出来ますが、それ以外の全てですら無いぞという目線にまでは至りません。【私以外のこの世の全て】も、本当の私は認識しているので、真の私には、一歩足りません。
「じゃ、もうこの世には私なんて、絶対に居ないじゃないか」……。私とは認識するものなのだから、あの世でもこの世でも、「私」が想像できるものは、すべて、私ではありません。想像しているモノこそ、私だからです。
想像出来たもの、言葉にされたもの、表現できたもの……ものというものの全ては、私ではありません。それらを認識するものが、私なのだから。

最初に、「私は○○である」という表現は根本的におかしいと言いました。【私】が【○○】では無いからこそ、【私】は、【○○】を認識出来るのだから、「私は○○である」とは絶対に言えません。

私に、「私」は探せない

一方、ヤージュニャヴァルキヤは「私は、△△じゃない、と言いました。これは、表現においては確かにOKです。
でも、この世にある全てのモノ(A⇒Z)を、一つずつ「に非ず、に非ず」攻撃で「私はAではない」から始めて、最後の最後のモノ「私はZではない」までを行えば、消去法で最後に残った、「真の私」が現れるのですから。私じゃ無いものを全て消したのだから、真の私が残るのではないか?……これも、否です。なぜなら、この世の全てのものを、「私じゃない」と言って来たのなら、『「私」は、私じゃない』も通ってきたはずなので、その時点で、色々なものが壊れてしまいます。「私は○○である」とも言えず、「私は○○じゃない」とも言えず。だから、結局、「私」については、どんな言及もできないのです。

「私」には、真の私なんて探せないのです。究極の私がどこかに居るかもしれないけれど、それを、「私」が探すことは出来ないのです。だから、「私」の意見としては、「私なんて居ない」がゴールになります。

「私」は探せないんです。探しているのが私だから。私を発見することが「私」には絶対に出来ません。だから、「私」なんて本当はいないんです。
振り出しに戻ってしまいましたね。次回は、「私」は居ないのに、「私」が居るとしか思えないということをお話しします。

~つづく~

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