『心理セラピスト』が教える!『マルチタスク』~追い詰められた人生の果てに~

一度に複数の処理を行うマルチタスク

『マルチタスク』という言葉があります。IT用語です。説明すると、1台のコンピューターで複数の処理を同時にこなすことです。ちょっとわかりづらいですね。

もう少し、具体的に説明します。あなたはPCを起動しました。ワードとエクセルとアクセスとフォトショップを同時に開き、さらに音楽も聞きたいのでメディアプレイヤーを起動。ついでにTRINITY WEBも見たいのでインターネットのブラウザも起動。念の為、スパイウェアチェックのソフトも使ってみよう……と、こんなふうにPCを使ったとします。これがマルチタスクです。

これは極端な例ですが、もしかしたらこれに近い事をやったことが1度や2度はある人も多いのではないかと思います。すると、PCはどうなるかというと、情報処理速度が著しく落ちて、ようするに重くなります。遅くなります。作業効率が悪くなります。挙句の果てにPCが固まってしまって、やむを得ず強制終了をかけて、もう一度PCを立ち上げなおして、ということになりかねません。

突然、PCの話をしてすみません。実は僕が話をしたいのはPCではなく、人間の話です。僕たち日本人は特に時間に追われて生活をしている人が多いと思います。だから、しばらくバリ辺りに旅行して、サリーか何かを身に付けたお姉さんに癒しのエステでも受けながら、美味しい果物を食べ、美しい夕日を眺め、ゆったり、のんびりとした時間を満喫したいなんていう人も多いのではないでしょうか。

マルチタスクの人生に振り回されない

それってつまり、時間に追われてパニック状態な日常から解放されたいと言う願望ですよね。しかし私たちは、何故か矛盾した生活を自分で作りだしていたりしませんか? 子供は、未知なる可能性があるのは事実ですが、学校のほかに塾に行き、ダンスやスイミングに行き、ピアノを習い、英会話を習い、一週間のスケジュールは常にいっぱい、なんてギスギスとスケジュールを詰め込む人がいますが、実はこれは効果的な教育ではありません。本人が望んでいるなら別ですが親のエゴなら考え直す余地があると思います。レッスン料を稼ぐためにパートを増やし過ぎたら、世間のママさんだって、それこそ『マルチタスク』でいっぱいいっぱいになってしまいます。子供は親には、できるだけデン!と構えて安心感を与えて欲しいのです。

社員の方も同じです。特に経営者や管理職の方は意識して欲しいのですが、部下に『マルチタスク』を強要すると、会社にとっても実は良くありません。少数精鋭は結構だと思いますし、時には子供の教育同様、忍耐や根性も必要だと思います。世の中が常に温室でいられるとは僕も思っていません。ただ、キャパシティを越えると脳の機能が低下し、というか心が摩耗します。人間は、心で生きているのです。

恋愛も同じ事が言えます。あれもこれもと相手に求め過ぎると、きっと恋愛は成就されるどころか、直ぐに破局を迎えてしまうと思います。もちろん男性でも女性でも同じです。ハッキリ言えば、モテなくなります。僕たち人間は「今のままのあなたでいいのですよ」とか「その人らしさを尊重しよう」と口では言いますが、実際は万能人間を求めているような気がしてなりません。「そんな事も出来ないのか!」「もっと効率を考えなさい!」「まったくあなたは…」というような接し方をしていないでしょうか。

これは僕が日々感じているとても大事なことです。少し暗い話をしますが、仮に人類が滅亡するとしたら『自滅』が原因ではないかと僕は考えています。PCが一度に複数のタスクを与え過ぎると固まってしまうのと同様に、人間もタスクが多すぎたり、求めるモノが多すぎたりすると、たとえそれを「期待してるからこそ言うんだ!」と言ったところで逆効果になってしまうのです。

仕事も恋愛も同じです。至ってシンプルなのです。「君がいてくれて嬉しいんだ」。「時間をかけてでも良いから、お互いに末永く支え合って成長していこうね」。たったこれだけで人生はとても豊かになるのです。あれもこれもじゃないのです。

つまり、それって何なのかというと、『思い遣り』であり『愛』なのです。時には人間ですから追い詰められて相手にあれこれ求めてしまうかもしれません。ただ、それでも相手は相手なりに常に一生懸命に生きているということさえ忘れなければ、人類ってもっと幸せになるのです。
いつも、みんなのためにありがとう。