『日本ふしぎ発見ーー地球と人類再生のために見直そう日本の不思議文化の旅』PART.2

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第2回「本当はこわくない『四谷怪談』」

「本当のお岩さんのちょっとイイ話!事実をねじまげたことで、天罰が起きたのか?」

怪談には興味がない、こわいのは苦手という方でも、『四谷怪談』はご存じのお話でしょう。伊右衛門と言う男が、財産目当てで醜いお岩さんと結婚して婿養子田宮伊右衛門となり、悪い同僚の伊藤喜兵衛に知恵をつけられ、喜兵衛の美しい妾と結婚するために伊右衛門はお岩さんを無残に殺害し、その「たたり」によって伊右衛門・喜兵衛ら陰謀に関わった人々が皆取り殺されたばかりか田宮家・伊藤家など関わった家系まで断絶してしまうというすさまじくも恐ろしい怪談話として有名です。

歌舞伎で『四谷怪談』を興行する場合や映画・ドラマで『四谷怪談』を撮影する際には、必ずお岩さんの関係の寺社に参拝しないと、「たたり」があるなどと言われています。しかし、この怪談話はウソでした。少なくとも元の怪談話はウソです。「たたり」があるとしたら、まっすぐひたむきに生きた方たちを事実無根に悪く描いたためでしょう。

では、本当の『四谷怪談』とはどのようなお話だったのでしょうか? お岩さんを祀った本家本元である「於岩稲荷田宮神社(おいわいなりたみやじんじゃ)」の「由緒書」を見てみましょう。舞台は、江戸時代初期のことです。お岩さんが田宮家の御家人の娘で伊右衛門が婿養子というところは同じですが、夫婦ともに善男善女で仲が良く、特にお岩さんは当時の「女性の鏡」のような人物でした。

貧しくも幸せなご夫婦だったのですが、貧しさも極限までくると生活は大変です。2人は家を立て直すために商家に奉公に出ました。2人で生活を支えるために協力し合って働いているわけですから、本当に仲が良かったことがわかると思います。

お岩さんは田宮家の敷地にある屋敷社を信仰していました。また再び、夫と幸せに暮らせるようにと毎朝欠かさず神に祈り奉公するお岩さんに奉公先の商家の主人も感銘を受け、何かとお岩さんを優遇しました。

やがて財産ができ、田宮家はかつてのように栄えはじめました。すると、田宮家の屋敷社を信仰して家を立て直したという話が、近隣に伝わり評判となり、田宮家の屋敷社を「於岩稲荷(おいわいなり)」と呼んで信仰するようになりました。やがて参拝に来る人々を断りきれなくなり、参拝を許可するようになったと書かれております。さらには、家内安全、商売繁盛、悪事・災難よけの神様として江戸中の人気を集めたと言います。

「たたり」は天罰!?

この美談を美談では面白くないと言ってどぎつ怪談話に書き変えたのが、江戸時代最大の劇作家である四世鶴屋南北でした。話を180度書き換えたわけですから、創作の才能は傑出していたのでしょうが、そのためにまっすぐにひたむきに生きた夫婦の事実をねじ曲げてしまったのです。

現代でも、週刊誌などの記事には事実と異なり、面白おかしくねじ曲げられた記述があることがしばしば見られますが、ねじ曲げられて書かれた本人はたまったものではありません。

これは亡くなった方だとて同じではないでしょうか? お岩さんも伊右衛門も、あのようなドロドロしたどぎつい物語の主人公にされて、怨霊や悪人にでっちあげられて、さぞ悲しんでいることでしょう。よく言われるお岩さんの「たたり」というのは、まっすぐに一生懸命生きた人々を悪くおとしめて描いたことへの「天罰」のように思えてなりません。

三浦正雄著『新・あの世はあった』