絵師のよろづ話:第十二話「七観音・馬頭観音様が悪障を喰らう」

絵師のよろづ話:第十二話「七観音・馬頭観音様が悪障を喰らう」

七観音の一人に数えられる馬頭観音様

こんにちわ。神仏絵師の昌克です。さて今回は、七観音の一人に数えられる馬頭観音様をご紹介します。名前から推測する通り「馬の頭」をした観音様なのですが、それだとあまりにもインパクトが強すぎるのか、実際の仏像や絵で表現されている馬頭観音様の多くは、馬の頭の飾りをつけていたりしています。でも極一部では、文字通り「馬の頭」をされています。

馬頭観音様のビジュアル面での特徴は、まさに「馬頭」であるのですが、実は、もっと重大な特徴があるのです。観音様と言えば、柔和で穏やかなイメージですよね? でも、この馬頭観音様だけは、髪を逆立てた「憤怒のお顔」をされています。このことからなのか「馬頭明王」とも呼ばれ、不動明王様などと同じ明王として位置づけられることもあるのです。
観音様でありながら、憤怒のお顔を持つ観音様。さて、その秘密を探ってみましょう。
ちなみに私の描く「馬頭観音様」は、馬の頭をされていて、憤怒の顔は、鎧として表現しています。

馬頭観音様のルーツはヒンズー教の最高神ヴィシュヌ神

そもそも「馬頭観音様」のルーツは、ヒンズー教の最高の神様、ヴィシュヌ神の別名「ハヤグリーヴァ」(まさに『馬の首』と言う意味)です。ヴィシュヌ神は、シヴァ神とともにヒンズー教の二大巨頭なので、そんな大物が馬頭観音様のルーツって凄いでしょ? そんな理由からか、その力を表現するために「憤怒」のお顔をされてるのかも知れませんね。
「様々な悪障を馬が草を食(は)むように、喰らい尽くす」それが、馬頭観音様なのです!!! と言っても、馬が草を食べてる姿って、牧歌的でほのぼのしてますよね……。

また、昔の農家で「馬」と言うと、農耕の手伝いはもちろん、当然、車もなかった時代なので、交通手段の一つでもありました。そういうことから、馬は、家畜でありながら、家族のようなものだったのかもしれません。馬頭観音様への信仰が広がった理由は、そう言う背景もあったのかも知れません。
さらに、この馬頭観音様に家畜たちの健康や安全を祈っていたんだろうな~っと想像させることがあります。私たちがよく見かけるお地蔵様ですが、今度見かけたら、よ~く見てください。胸の前で手を合わせて、髪の毛が逆立ち、怒った顔をしていませんか? お地蔵様だと思って素通りしてたのが、馬頭観音様だったりするのです。

そして、馬頭観音様の最後の秘密。それは胸の前で組まれた「印」にあります。「馬口印(まこういん)」と呼ばれるこの印は、親指、中指、小指を立て、人差し指と薬指を曲げて手を合わせるのです。下のイラストでわかるかな?
もし間近で、馬頭観音様を見る機会があれば、ぜひともこの「馬口印」にも注目してみてくださいね。お友達と一緒だったら、尊敬されるかも!

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<Information>

「第2回 神仏画展」開催予定!
■開催期間:7月11日(木)~16日(火)
■展覧会場:吉祥寺第一ホテル1F ギャラリーK
詳細は、こちら。
http://www1.parkcity.ne.jp/am/shinbutsugaten/2013/