『日本ふしぎ発見ーー地球と人類再生のために見直そう日本の不思議文化の旅』PART.1

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第1回『牡丹灯籠』

「男女の出会いは、前世の因縁による。愛はプラスのエネルギー、こだわりはマイナスのエネルギー」
日本ふしぎ発見第1回は『牡丹灯籠』のお話から入りましょう。『牡丹灯籠』は、江戸時代末期から明治時代前期にかけて活躍した落語家三遊亭円朝の有名な怪談です。

円朝は、小説家も顔負けというぐらい創作の才能に優れていました。それまでただの笑い話と思われていた落語の地位を高め、明治天皇の前で御前講演を行ったほどの人物です。近代落語の祖と言われ、多くの門下生を育て、現在でも三遊亭と称する落語家は大勢います。

円朝は、いわゆる小説にあたる人情噺(ばなし)の他に怪談の創作・実演も得意でした。なかでも有名なのが『牡丹灯籠』です。この物語には幽霊の出てくる怪談話が2つありますが、有名なのは最初の方、亡くなった大好きな人が毎晩訪ねてくる話です。

亡くなった魂と再会する物語の元祖『牡丹灯籠』

昨年話題になった映画『ツナグ』は、故人と一度だけ会わせてくれる仲介役であるツナグになった主人公を描いた作品。また、亡くなった妻と再会する『いま、会いにゆきます』、アメリカでも亡き夫が妻を守る『ゴースト』『オールウェイズ』など愛する故人と会う物語は多々ありますが、その元祖的なものが『牡丹灯籠』です。

新三郎(21歳)とお露(17歳)は、一度出会って話をしただけでお互いに好きになってしまいます。内気な浪人新三郎は、知人に梅を見に行くのに誘われ、その帰りに旗本の娘お露の家に行きます。お露も新三郎も、武家の出であり時代柄もあってとても純情で、たった一度会ってわずかな時を過ごしただけでトキメキますが、その後ずっと会う口実もなく、会えないまま相手のことを思い続けます。

ソウルメイトと言う言葉がありますが、男女は前世の因縁によって惹(ひ)かれあうのかもしれません。ソウルメイトの場合は定められた運命の相手で良縁をさすのでしょうが、前世の因縁という場合、必ずしも良縁ばかりとは限りません。悪縁で惹かれあう場合だって多々あります。

会いたくても会えないでいるうちに、お露は病死してしまいます。お露に仕えていたお米も主人の後を追うように病死します。

一方、会えないでいるうちに愛する人が亡くなったと聞いてショックを受けた新三郎は、お盆の日に家で一人、お露のご供養をしています。すると、カランコロンと言う下駄の音が道に響き、誰かが外の道を歩いてきます。よく見ると、それはお露とお米でした。2人を家に入れた新三郎は、死んでいないのに死んだことになった訳を聞き納得します。そして、その夜以後毎晩、お露は新三郎の元へやってきては愛しあうようになります。しかしながら、死者という異界の存在と愛しあうようになった新三郎は徐々にやせて青白い顔になってゆきます。生命とは燃えさかる炎のような陽のエネルギー、一方、死者、特に迷ってこの世に出てくる死者は陰のエネルギーの塊(かたまり)で、死者とまじわった新三郎はどんどん生気を吸い取られて死に近づいてゆきます。

幽霊や不思議なことを見るというのは迷信だ、心の病だ、という当時の社会風潮から、この物語には、幽霊に見せかけて実は借家の夫婦が新三郎を殺したと言うオチがついており直接の死因は他殺かもしれませんが、物語の流れから見るとこのオチには不自然な感があり、幽霊との禁断の恋と、それによって日々衰えてゆく新三郎というところまでは否定されてはいません。

『牡丹灯籠』は、死者との恋、足があり下駄の音をたてて歩く幽霊、前世の因縁などで有名な物語ですが、様々なことを私たちに教えてくれます。

この物語は、男女の出会いは前世の因縁によるもので良縁(ソウルメイト)も悪縁(かたき同士など)もあること、死後も出現する人はこの世にこだわりがありマイナスのエネルギーを持っている場合が多いこと、そして愛はプラスのエネルギーだがこだわりはマイナスのエネルギーとなってしまうため見極めが大切と言うことなど多くのことを教えてくれます。
三遊亭円朝作『怪談 牡丹灯籠』

三浦正雄著『新・あの世はあった』