【TRINITY No.46連動企画】世界に愛される江戸小紋を! 廣瀬染工場四代目・廣瀬雄一氏インタビュー PART.1

世界で認められる日本伝統文化

もともとは武士の裃がルーツとなって、今日まで受け継がれてきた江戸小紋。遠目にはまるで無地のように見える生地が、近くで見るとそれはそれは細かく繊細な文様で染められているのが分かる。それこそが、決して派手さはないが謙虚さや粋といった日本人の美意識を刺激する高い技術が凝縮された江戸小紋の魅力です。

「日本脱出!」がテーマのTRINITY No.46では、各国駐日大使や叶姉妹、LiLiCoさん、海外で活躍する日本人の方々をご紹介しました。その企画のなかで廣瀬雄一さんのインタビューもご紹介しています。「伝統」の魅力をいかに海外で広めるか、日本と海外の違いは?……誌面でご紹介しきれなかったお話を、WEBでご紹介します!
100年近く代々伝統を伝えてきた小紋廣瀬の4代目である廣瀬雄一さん。10歳から始めたウインドサーフィンでシドニーオリンピックの強化選手として活躍。今度は染め物という日本の伝統文化を持って海外に挑戦する江戸小紋染職人です。昨年は、テレビ東京の『ソロモン流』で特集され、ご覧になったた方も多いかもしれません。

 

<TRINITY 46号 廣瀬さん紹介記事>

 

 

廣瀬さんは、江戸小紋伝統技術を柔軟にアレンジし、海外の展示会にも多数出展。江戸小紋の伝統を決して断つことなく、その魅力を100%表現しながら海外での市場を徐々に拡大しています。目指すのは「お客さんが純粋に気に入って購入してくれた商品が、実は400年以上の歴史を持つ江戸小紋だったとあとで気づく」こと。
決して伝統を武器にも足かせにもしない。「素晴らしい商品だから愛される」。江戸小紋に対する廣瀬さんのまっすぐ情熱は、世界の人々のもとへとしっかりと届いています。

―海外向けの商品を考えた時にストールを選ばれた理由は?
ストールは日本はもちろん世界でもシーズン関係なく親しまれていて、需要も確実に伸びているからです。

―海外向け商品の場合に工夫している部分はありますか。
特に色に関しては、海外向けの場合は日本向けとは違う工夫をしました。日本人と海外の人では、身に付ける方の髪の色や瞳の色、肌の色も違いますし、好まれる色も違うという認識があるからです。ただ、最初はそのつもりで海外向けに色をつくっていたのですが、海外向けにつくられた色が、実は日本人にも大変好まれる色だったりして、その反応は面白いと感じています。

 

―伝統から抜け出そうという意識はありますか。
このストールたちは、海外に出展するなかでインスピレーションを受けて、徐々に進化し、出来上がってきたものです。それを実現するためには、これまでの伝統は不可欠です。伝統から抜け出すのではなく、これまで代々引き継がれてきた職人の知恵と情熱なしには海外への挑戦もありません。

―海外で出展した際に苦労することや悩みはありますか。
江戸小紋は、実際に近くに寄って見て頂くことで、やっと色彩の変化や手触り、繊細な柄がわかる商品なので、バイヤーの方にいかに近づいて手に取って頂けるかが大きな課題です。ですので、繊細な型紙を展示し、私が実際に染の実演をすることで、興味を持って頂くことができ、話も弾んで反応を得ることができます。
オリジナルブランドの「comment?」はフランス語なんですけど、海外の人達は「コモーン?」と呼んで笑ってくれて親しんでくれるようにしたのも工夫したポイントです。

PART.2に続く

▼小紋廣瀬HP
http://www.komonhirose.co.jp/

▼廣瀬雄一さんブログ
http://hyuichi.exblog.jp/

 

▼TRINITY vol.46好評発売中