一宮千桃のスピリチュアル☆シネマPART.3 お笑いコンビの悲喜劇を描く感動エンタテインメント作「ボクたちの交換日記」

内村光良氏渾身の一作! 本業お笑いの世界を描く

うっちゃん(内村光良)監督の映画だし……と軽く思っていたら、ギャフン。ラスト大泣きしてしまった。やられた~。こんな上手に映画作れるなんてうっちゃんすごいわ、とプレスを見ると、なんと彼には若かりし頃映画監督を目指して横浜放送映画専門学校(現・日本映画大学)演劇科入学という経歴が! これは映画への愛はただものではないはずだ。また、今作はお笑いコンビの話だけに正直自分のこと(原作に自己投影し)を描き、成功したのだと思う。作家でも映画監督でも、まず最初に世に出して問うものは自分の物語であるべきで、それは評価され易い。なぜならよく知っている世界だからだ。うっちゃんは2006年に「ピーナッツ」という野球映画を初監督しているが、2作目の本作こそ自分の世界で本領発揮というとこだろうか。

「SMAP×SMAP」や「笑っていいとも!」を手掛ける放送作家の鈴木おさむのベストセラーが原作だ。結成12年、もはや30歳も目前なのに、まったく売れない芸人コンビ「房総スイマーズ」の田中と甲本。二人はマンネリ状態を打破しようと交換日記を始めることに。日々の思いや些細なことを書き連ねるうちに、だんだん二人の間にあった溝が埋っていく。そんな時大規模なお笑いコンテストへの出場の話が。しかし、甲本は出場を渋る……。

中盤あたりで、こうなるのかな? と思っていると、話は意外な方へ転がって、ちょっとしたどんでん返しがある。そうきたか!と嬉しい裏切りを楽しんだ。気持ち良く泣かせてもらえる娯楽作となっている。くすっと笑える微妙なギャグも散りばめられて、ちょっと甲本役の小出恵介が男前すぎる気もしたが、ラストはボロボロ涙をこぼして熱演。しっくりこさせた。

 

芸人コンビはソウルメイトであることがほとんど

スピリチュアル的視点で観ると、芸人コンビというのは、ソウルメイトだと思う。ある意味、配偶者より長い時間を共有し、魂のつれあいのような関係がほとんどだと思う。前世で夫婦だったという関係も少なくないだろう。だから、名コンビの出会いは運命なのだ。この映画もまあ言えば二人の男の「ラブ・ストーリー」で、二人にはちゃんと支えてくれる賢妻がいるのだけど、彼女らは刺身の妻(笑)のような扱いである。

いつも自分に意地悪をするとか、仕事の邪魔をするとか、自分にとって嫌な相手が実はソウルメイトだったということも往々にしてあることで、安易に自分を苦しめる人間を憎んではいけない。彼らに邪魔をしてくれと頼んだのは魂の時の自分なのだから。そのことを知っていると、意地悪されても「ありがとう」という気持ちにもなるものだ(う~んむずかしい時もあるけど(笑))。

しかし、田中と甲本のようなソウルメイト的な強烈な出会いをしてみたいものだ、と羨ましい気持ちにもなった。くされ縁はいくつかあるような気もするが……それもたぶんソウルメイト……だね!

 

 

「ボクたちの交換日記」
3月23日(土)大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸~全国ロードショー

監督・脚本/内村光良 原作/鈴木おさむ 出演/伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみ、木村文乃、佐々木蔵之介、大倉孝二、佐藤次朗
(C)2013「ボクたちの交換日記」製作委員会

公式サイト http://koukan-nikki.jp/

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