神仏絵師のよろづ話:第十話「十二の顔を持つ、十一面観音様」

十一面観音様は聖観音様

こんにちは。神仏絵師の昌克です。さてさて、今回のタイトルを見て、いったい何のことだろう?と思った方も多いはず。まず、十一面観音様となのに、なぜ十二の顔を持つの?と言うことですよね(笑)。さてさて、それではその謎解きを始めましょう。

以前の記事で、千手観音様や、馬頭観音様などの様々な観音様は、聖観音様お一人が変化したお姿であることをお話ししました。もちろん、この十一面観音様も同様に、聖観音様のお姿の一つです。そして最も古い変化観音様と言われ、その起源は、バラモン教の「十一荒神」や、十一面の顔を持っていた「シバ神」といった説があるのです。

 

いずれにしても、その十一面がキーワードの観音様であることは確かなのは、おわかりいただけたと思います。さて、結論に行く前に、十一面の内訳を見てみましょう。

頭上には1つの仏面(究極的理想としての悟りの表情)
正面に3つの菩薩面(慈悲深いお顔)
左に3つの瞋怒(しんぬ)面(厳しいお顔。別名、忿怒面)
右に3つの狗牙上出(くげじょうしゅつ)面(唇の間から牙を出したお顔)
後頭部に1つの大笑(だいしょう)面(大口を開けて笑うお顔)

以上が、十一面観音様の十一面の内訳とされています。

さて、ここから本題です。十一面観音様とは、以上の十一面が載っている観音様なのです。つまり、もともとのお顔の上に十一の面が載っていることになるのです。1+11=12となるのです。そして、このルールを守って作られた十一面観音様のお顔を数えると12になってしまうのです。その後、十一面観音様なんだから、11のお顔でいいんじゃないかと生まれたのが、もとの観音様のお顔をひとつと数えて、合計で11のお顔をもった文字通り十一面観音様が作られるようになったのです。
「十一面観音様」は、全国で祀られています。これから尋ねることがあれば、よ〜く注意してみてくださいね。その十一面観音様が、11面か、12面か見てみましょう。と言っても、実は、ご本尊となってる場合、なかなか後ろのお顔まで見ることができないので、お顔を数えるのはちょっと難しいのです。そんなときは、是非、そのお寺の方に聞いてみましょう。意外と、知らなかったりしてね。(笑)

 

最後に、十一面観音様は、七観音のお一人で、六道( 天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)のうち修羅道を救うために現れてくださます。修羅道とは、争い合い、奪い合う世界です。東日本大震災の後、まさに一時は、我先にと食料を買いあさる世の中は、まさに修羅道でした。落ち着き、ようやく収まったのは、物がお店に並びはじめてからでした。本来、我々が住んでいる人間道から、修羅道へとたくさんの人が堕ちてしまいました。あのような災害には、二度と遭いたくないと思うのは、当たり前ですが、そこからまた堕ちてしまうことだけは、避けたいものですね。

<Information>
「Japanism Art Exhibition ~鶯語花舞~」
2013年3月19日(火)~24日(日)
会場: The Artcomplex Center of Tokyo 2F ACT3(新宿区)
詳細は、こちら。
http://www.gallerycomplex.com/c/jae6/index.html

「第2回 神仏画展」開催予定!
7月11日(木)〜16日(火)
会場:吉祥寺第一ホテル1F ギャラリーK
詳細は、こちら。
http://www1.parkcity.ne.jp/am/shinbutsugaten/2013/