古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その8~小腸

古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その8~小腸

皆さん、こんにちは。
美容鍼灸師の折橋梢恵です。

2月も、もう終わりというのに、今年の東北地方では、例年にない大雪で、テレビから映し出される5メートル以上積もった雪の映像をみていると、雪の降らない地域のありがたみをしみじみと感じます。
関東でもまだまだ寒い日が続きそうですね。春の訪れが待ち遠しいです。

 さて前回からは、「六腑の働き」についてお話をしてきました。

 今回は、六腑の2つ目、小腸の働きについてお話をしていきたいと思います。

まず、現代医学での「小腸」は、肝臓や膵臓から分泌される胆汁や膵液が排泄される場所にあたり、これらの消化酵素によって食べた物を消化します。またこれらの消化物を更に分解し、体にとって必要なものを小腸から吸収したりもします。

では、東洋医学(中医学)での「小腸」とは、一体どのような働きをするのでしょうか?

その働きについて見ていきたいと思います。

 中医学における「小腸」の主な働き

①胃から受け取った消化物を更に消化吸収し、体に必要な栄養分と不必要な排泄物とに分別する働きを持ちます。

この働きについては現代医学の小腸の働きとほぼ同様だといえます。
つまり、食べた物の消化吸収を担うわけです。
中医学では、この小腸の働きが低下することによって、飲食物をうまく消化することができず、お腹の張りや腹痛、下痢などが現れると考えられています。

また栄養分と排泄物を分別する小腸の働きに支障がおこると、頻尿や排尿障害、尿が黄色くなったり、赤くなったりなどの症状が現れてきたりもします。
鍼灸の古い書物によると「小腸は受盛の官」と記されています。

この意味は、胃で消化された飲食物をけ取り、さらに消化吸収しやすいように血液を介して身体にある様々な臓腑、器官にり与える役目を指しています。

このように東洋医学(中医学)では臓腑の機能をその時代の政治の役職に例えて説明しているところがとても面白いところでもあります。

また小腸は、五臓の心と表裏の関係にあり、共に影響し合っているといえます。
例えば、小腸の病が心に影響すると、心と関係する舌が荒れたり、また精神が不安定になり、不眠や夢を多くみるなどの症状が現れたりもします。

そのため、私たち鍼灸師は、その病の根源がどこにあり、どの臓腑を対象に治療を行うかをしっかりと吟味した上で、ツボを選択します。ですが、症状に頻尿があるから即、小腸の病であると判断せず、他にどのような症状を伴っているか?またどのような経緯で病に至ったか?など身体全体から得た情報を基にし、病の根源を探っていくことが中医学の重要な考え方といえます。

では、次回は胃についてお話をしていきたいと思います。

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