モロッコ見聞録PART.4~サハラから世界遺産の要塞都市へ

写真:のどかな田園風景が続くティネリール

旅はサハラ砂漠を抜けて
世界遺産へと向かう

サハラ砂漠に別れを告げ、一路、ワルザザードという街を目指します。長い道のり、時間を有効に使うため、タクシーをチャーター。運転手さんは、宮沢藍選手のお兄ちゃんのような面差しのたくましいけどやさしい人。モロッコの大地を、車はひた走ります。車窓から見える雄大なパノラマも楽しみの一つなのですが、まぁ、その走行距離は半端なく長く、運転手さんに頭が下がります。トータルで、一体何キロ走ったのかしら? ワルザザードに着いたのが夕方でしたから、あれから帰ったとすると、着くのは夜中???

まず、ティネリール(上写真)というオアシスの街を通過。緑色の濃いナツメヤシが群生する向こうに、日干し煉瓦の街が広がっていました。よく目を凝らしてみると、そのナツメヤシの手前には畑があって、おじさん達が農作業にいそしんでいました。想定外にほのぼのとした田園風景に出会えて、なんとも楽しい。そこから30分ほどで、トドラ渓谷に到着。

 

 

そびえたつ断癖をロッククライミング!?

高さ300メートルの断崖絶壁は迫力の景観!その絶壁をよーく見ると、ロッククライミングしている人がいてオドロキ。どこにでも冒険野郎はいるものですね。渓谷の水は、美しい水色。渓谷の遊歩道の脇をよく見てみると、湧水がありました。きれいな水。旅の始まりのフェズでも大雨に遭い、砂漠でも雨が降り、どうやら私が旅した時は珍しく雨が多かったらしい。ここトドラ渓谷でも入り口付近の川を渡る橋が壊れていて、観光客が行き来する中、おじさんが川に入って修理していたのが印象的でした。これから向かうアイトベンハッドゥでも、要塞都市の前に川が流れていて、私が訪れた翌日は、川が増水し過ぎて渡れなかったそうです。フェズからの夜行バスの道も、翌日は通行止めになったとか。なんだかツイてるわ、私。

観光客をサポートする地元の男性

 

川で守られた要塞都市
ほんの数家族が暮らす世界遺産

アイトベンハッドゥは、1987年に世界遺産に登録された要塞都市。外敵の侵入を防ぐため、川を渡らなければならない造りになっています。今では数家族が暮らしているのみといいますが、世界遺産に住むってどういう感じがするのでしょうね。 

 

地形を利用してつくられた映画のなかのような街並み

村の名前は「ハッドゥさんの息子たち」という意味。ここの景観は独特です。小高い山を利用して作られていて、一度見たらかなり印象に残るでしょう。これまでにも映画の中に何度か登場しています。“ナイルの宝石”“グラディエーター”はハッキリそれとわかります。他にもいくつかあったハズ。掲載されている写真をご覧になって、興味が湧いた方は、ぜひ探してみてください。

川を渡って(水かさが多いときはロバで渡るのだそうです)、上を目指して上ります。砂漠での筋肉痛がたたって、登りがしんどい! 一番最後の登り坂でへばっていたら、運転手兼ガイドのお兄さんが手を貸してくれました。辛い時に差し出された、グローブのように大きくて分厚い手のなんと頼もしかったこと! 普段、人の手を借りるのが苦手な私には新鮮な出来事でした。ここから私の人生で「助けて~」とか「これ以上は無理です」など、正直に弱音をはけるようになるのですから人生何がキッカケになるかわからないものです。お兄さん、ありがとう!

登りきった上からの眺めは最高。脇を流れる川は、なかなかに水量があって、水に恵まれているように見えたのですが、塩分が多く、飲用には向かないのだそうです。なんともエキゾチックな眺めを見下ろしていると、自分がまるでそこに住んでいる部族の長(族長)になったような気分になれます。ひとしきり堪能して、川を渡って戻ります。有名な観光地だけあって、お土産物屋さんも沢山ありましたが、夕方行ったのが幸いしたのか客引きにも合わず、それどころか店じまいをしていました。あまり商売熱心ではないらしい?

次回は、ワルザザードという街のお話です。

 

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