古代中国医学の考え方「五臓六腑」とは その2~「肝」は感情のコントールを司る

いつもTrinityをご覧の皆様、明けましておめでとうございます。

年明けから少々時間は過ぎてしまいましたが、2013年になってから初めての記事となりますので、新年のご挨拶をさせて頂きます。

皆さんは2013年という新しい年をどのように迎えられているのでしょうか? 今年は、お正月休みが長い方もいらしたようで、なかなか仕事モードに入れない、という方も少なくはないと思いますが、私も実家でゆっくり家族との時間を過ごしましたが、今年が良い1年になるようにそろそろ気持ちを入れかえて頑張りたいと思います。

さて前回は、中国医学の中でも重要な要素のひとつ、「五臓六腑」について少しご紹介をさせて頂きました。今回からは、それぞれ五臓と六腑に分けて一つずつ詳しくお話をしていきたいと思います。

◆「肝」は感情のコントールをする場所

それでは今回は、五臓のうちの「肝」についてお話をしていきます。「肝」は一般的に肝臓のことを指しますが、東洋医学でいう「肝」とは現代医学でいう「肝臓」と厳密にいうとイコールではありません。

東洋医学(中医学)が意味する「肝」とは、あくまでも概念的なものとして捉えており、その働きについても現代医学でいう「肝臓」とは、少し異なるのです。

それでは、実際にこの「肝」の働きについて見ていきたいと思います。

主な肝の働きとしては、以下の2つがあります。

①全身をめぐる気の流れを管理しています。
肝の気には、内臓や人体の様々な器官、経絡の働きを調節している全身の気の循環を調節して、血液や水分の流れ、脾胃の働きを促し、感情を調節するといった作用を持ちます。

②全身を流れる血の貯蔵を担っています。
肝には、血を貯蔵し、体の各部分の血液量を調節する働きを持っています。

現代医学における「肝臓」の働きには、「胆汁の生産」「栄養の処理や貯蔵」「尿素の生産」「解毒」「分解」などがあり、働きが似ている部分もありますが、異なる部分もあります。

東洋医学(中医学)の「肝」で特徴的な働きは、感情のコントロールをしているという考え方だと思います。東洋医学(中医学)では感情を七情と呼び七つに分類していますがその中でも「肝」は、「怒り」の感情に深く関係しています。そのため、極度のストレスや怒りなどによって「肝」は傷つけられ、その働きを妨げられると考えられています。

私たちは、鍼灸師は、施術を行う前の問診で、しばしばストレスの溜まり具合やイライラすることが多いかなども伺います。もし、体の不調がストレスやイライラが原因で起こっている場合には、「肝」の働きが良くないと判断し、「肝」の働きを整える施術を行います。

西洋医学では、人の体を細分化して診るため、感情と肉体の関係について考え始めたのは最近のことですが、東洋医学(中医学)では何千年も前から、感情と肉体の密接な関係についての概念がありました。このように東洋医学独特の考え方というのは、奥が深くなかなか面白いものです。

次回は、五臓のうちの「心」の働きについて詳しくお話をしたいと思います。

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