みちのく岩手 東日本大震災後の神社を訪ねて その4(完結編)

◆アラサー女性の神職さんからのメッセージ

盛岡八幡宮での講演会の後半はシンポジウム形式で、若手神職さん3人のお話を伺いました。そこで、30代の若い女性の神職さんに、どうして神職になったのか、震災のときの様子など、簡単にお話を伺うことができました。

宮古市の八幡宮 禰宜 大手理恵子さん(34)です。

 

大手さんは宮司であるお父様と一緒に八幡宮をお守りしています。一人っ子として生まれ、跡取りとして期待されて育てられましたが、小さい頃は神職になるつもりもなく、なりたかったのは「栄養士」。しかし、親の選んだ大学は「国学院」。そこでしぶしぶ夜間に通い、昼間は明治神宮で働きます。ところが昼間、明治神宮で働き、全国から集まった仲間達と触れ合ううちに、大きく意識が変わってきます。

「地域の人々のために貢献できるのは神社しかない!神職になろう!」

そこで、卒業後、地元の岩手に帰り、お父様とともに働いて10年。現在は、岩手県神社庁宮古市支部事務担当者でもあります。ところで、神職の女性は岩手県でも50人ほど。全国でも2割しかいません。

「女性で神職をしていると差別があったりして大変ではないですか?」と聞くと、「まだ父がいるので・・・」「それに、地域の人々にかわいがっていただき、神様の仕事ができるのがうれしくて、そんなに気になりません」と。           

「好きな神様は?」と聞くと、やはり御祭神の八幡大神、応神天皇のご神霊とのこと。心底仕事を楽しんでいる様子が伝わってきました。

ところで、震災のときはどうだったのでしょう?

大手さんはその時たまたま研修で県外にいらしたそうです。そして戻ってきてみたら……。お宮は無事でしたが、氏子さん1200戸が地震と津波で被災し、25人がお亡くなりに。この地域では、人が亡くなると、「後清め祓い」といって、必ずお寺さんのお葬式の後に、神社さんを呼んでお祓いをする習慣があります。神仏習合がまだ残っているのですね。

そんなわけで、震災直後は大手さんの神社も大変でした。

それで「全国からものすごい勢いで支援があって、逆に落ち込んでなんかいられない、がんばらないとって思えるんです」と前向きに。

悪いことばかりではなく、逆に岩手の被災した神社へ目が集まり、日本古来の神社の伝統や文化を復興させよう、応援しようという動きが高まってきたという「いいこと」もあったそう。

「獅子舞などの芸能が廃れそうだったのに、震災を機に中学生が学ぼうということになって。中学校ぐるみで取り組んでいるんです。他の神社さんでも、全国に震災復興イベントに呼ばれてカンパが集まったりとか。震災前は考えられなかったことです」と。

すべてを失った中から、希望の光が生まれるのを見た気がしました。

さて、これで「みちのく岩手 東日本大震災後の神社を訪ねて」シリーズは終了です。帰りに、前から気になっていたカフェに寄ることができました!元気でキレイな女性のオーナーが展開しているオシャレな植物性のみのマクロビカフェ。

 

観光で応援!被災地もどんどん観光に力を入れています。
もしも岩手に行く機会がありましたらぜひ寄ってみてください。

◆ソーベーズデリカフェ
岩手県盛岡市大沢川原3-6-7
phone & fax 019-653-8872
OPEN 火~土11:30~20:30 日11:30~17:00
定休日 月曜日
http://cafe.sobe.jp/