ライフスタイルデザイナー高橋克彰の“ウェルネスのセンスを磨く” PART.10~僕のウェルネスへのきっかけは肌の悩み

今回は僕の中で記念すべき10回目の記事ということで、なんで僕がウェルネスへの関心を高めることになったのか、そのきっかけをお話したいと思います。

僕は小さい頃から典型的なアレルギー体質で、全身アトピーと小児喘息でずっと悩まされ続けてきました。
アトピーのせいか皮膚が弱く、大人になっても乾燥敏感肌で、皮膚の薄い目の周りがよく赤くなっていました。

25歳の冬、まだ自衛隊で務めていたときに、目の周りの赤みが特に目立ってきたので、自衛隊の病院に行きました。
自衛官は自衛隊の病院だと治療代も薬代も無料なんですよー!!すごいでしょー!!
それはともかく……。
そこでお医者様に見ていただくと、「これは炎症を起こしていますね~」と言われ、炎症を抑える塗り薬を出されました。
塗ると一時的には赤みはおちつくのですが、すぐにまた赤みが出てしまいました。

そうこうして自衛隊を退職し、沖縄の那覇に移り住みました。
そこでも赤みが相変わらず出ていたので、近所の皮膚科に行きました。
お医者様からは、「これは真菌だね~」と言われました。
真菌、つまりカビです。
真菌を殺す塗り薬を処方してもらい、塗ってみました。
ところが、これがまったく赤みがひかない……。

数ヶ月後、今度は近所の別の皮膚科のお医者様に診ていただきました。
そのお医者様には、「これは真菌じゃなくて炎症だね~」と言われ、炎症を抑える塗り薬を処方してもらいました。
塗ってはみるものの、やはり赤みが治まらない……。

また数ヶ月後、沖縄の友人が「ここの皮膚科は有名だよ!」とある病院を教えてもらい、そこに行ってみました。
確かに人気があるみたいで、待合室にはたくさんの患者さんがいました。
そこのお医者様に診てもらったら、「これは真菌と炎症だね~」と診断を受け、真菌を殺す塗り薬と炎症を抑える塗り薬を処方されました。
これを両方塗ってみると……、な、な、なんと……!

変化なし……。

結局赤みがひくことはなく、1年が過ぎましたところ、僕は沖縄県の離島で「久米島」というところに移ることになりました。
久米島は沖縄本島からフェリーで3時間くらい行ったところにある離島で、泡盛の久米仙や、東北楽天ゴールデンイーグルスのキャンプ地として知られていますね。
その久米島で、食物アレルギーの子供を持つ家族が安心して旅行に来られるように整備する事業が始まり、そこに参加することになったのです。
このお話はまた機会があればお話ししましょう。

僕はそこで、食物アレルギーの「IgG検査」なるものを知ります。
IgGとは何かを簡単に説明しますと、人の防衛機能を「免疫」とお伝えしましたが、その主な役割を担っているのが白血球ですが、彼らが武器として使っているものが「抗体」と呼ばれるものです。
その抗体の一つがIgGです。

抗体には何種類かありますが、代表的なのがIgEで、よくハチに刺されたり、ソバやピーナッツを食べて呼吸困難になったというのを聞きますが、これは「IgEアレルギー反応」といわれるもので、アナフィラキシーショックとも言います。
急激に症状が出るので、即時型アレルギー反応とも言い、最悪の場合、死に至るケースもあります。

僕が検査をしたIgGとは遅延型のアレルギーで、発症には数時間から数日間もかかり、かつ徐々に症状に出てくるため、原因を認識するのが難しいとされています。
身体のいたるところで炎症を起こし、気がつかないうちに身体を蝕んでいき健康を害していく怖さを持っています。
症状の軽度で慢性的なのが特徴で、下記のような症状に代表されます。

消化器官…………消化不良、胃潰瘍、便秘など
筋肉と関節………筋肉痛、関節痛、リウマチなど
頭と首……………鼻づまり、頭痛、咽頭炎など
精神面……………イライラ、うつ、集中力不足など
その他……………疲労、湿疹、じんましん、むくみなど

僕は食品96品目の検査をしました。
数日後、検査結果を渡されて、見て驚愕しました……。
牛乳、チーズ、ヨーグルト、卵、小麦粉、ピーナッツ、牛肉、他にも数種の食品でアレルギー反応が出てたのです。
これを見たとき、かなりのショックを受けました。
なぜなら、僕の大好きで小さい頃からよく食べていたものばかりだったからです。

乳製品、小麦、卵がダメってどういうことかわかりますか?
今のお菓子ってこの3つをすべて、もしくはどれかを使っているものがほとんどなんです。
お菓子だけでなく、パン類、麺類、粉もの、その他お惣菜などもそうです。

僕は何を食べたらいいのか本当にわからなくて困惑しました。
とりあえずこれらの入っていないものを食べることにしました。
お米、サツマイモ、野菜、魚、あと……まあそんなところです……。
戦前の食事に戻ったような感じでした。

こんな粗食とも思える食事に変えてから、1週間後、あることに気づきました。
なんと目の周りの赤みがなくなっていたのです!!
「マジか……」って思いました。

2年近く目の周りの赤みに悩まされ続け、4人の皮膚科の先生に診ていただいて、カビだのなんだの言われ、薬もいろいろ塗り続けて、何にも治らなかったのに、食事を変えただけで、たったの1週間で赤みが治まったのです。

僕はこのときに2つのことに気づきました。

1つは「お医者さんって身体のことあんまり知らないんだ……」っていうことです。
すべてのお医者様がそうというわけでは決してありませんが、少なくとも僕は4人の先生に診ていただいて、誰一人として食物アレルギーのこととか僕の食生活のことを質問してきた先生はいませんでした。
実際、医大で勉強するときのテキストには、食物アレルギーに関しては数ページしかないと、食物アレルギー専門の先生がおっしゃっていました。

僕が気づいたもう1つは、「人間の健康って食べ物で決まるんだ」ということです。
牛乳、チーズ、ヨーグルト、卵、小麦粉、ピーナッツ、牛肉、どれをとっても一般的には栄養価の高いと言われる食材です。
ただし、それは”一般的に”です。
僕の身体はこれらの食品をアレルゲン、つまり身体にとって毒であり敵だと認識しているわけで、僕にとっては不要なものであったのです。

僕はこの「事件」があって以来、栄養を中心に、ウェルネスに急速に興味を持つようになり、同時に病院に頼ることよりもまず自己管理に意識を向けるようになりました。
特に食事の仕方、栄養の摂り方を変えたことによって、肌の調子は良くなっていき、同時に風邪をひいたりすることがほとんどなくなっていったのです。

とまあ、こんなきっかけです。

僕は幸運にもIgG検査を知ったことによって自分のことを知ることができ、肌や健康を改善させることができました。
もし検査をしていなければ、未だに肌のトラブルに悩まされ、病院にも頼り続け、もしかしたら今頃重度の病気になっていたかもしれない……。

IgG検査はぶっちゃけ安くはないです……。
2万円から3万円はしますので、当時の久米島で働いて稼いだお給料(沖縄はお給料安いんです……)からすると、相当な出費でした。
でもこれは結果的に、自分の将来何十年の健康への最大の投資になったのです。

「木を植える最もよい時期は20年前である。次によい時期は今である」という中国のことわざがあります。
20年前に自分の身体を知り、ウェルネスを実践していれば、今のあなたはきっと若々しく、そして生き生きと健康なはずです。
でも今そうでない人は……
今からやることです。
今日から健康に投資をすることなんです。
ウェルネスは病気になってからするものではありません。
健康なときにウェルネスを実践するから意味があるのです。

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