ライフスタイルデザイナー高橋克彰の“ウェルネスのセンスを磨く” PART.9~風邪の対処法~

11月に入って紅葉もどこも見頃を迎えていますが、寒さと同時に風邪がはやりだします。

これまでは健康と経済にまつわるお話をメインにしてきましたが、今回は季節編ということで、風邪と対策についてお話します。

まずはじめにお伝えしておくことがあります。
僕は医者ではありませんので、あくまで僕のこれまでの知識と経験でのお話です。
「これで風邪が治ります!」とは言いません(言えません)のでご理解ください。

 

まずそもそも風邪とは何か?
実はここを理解しているかしていないかで、対策はがらっと変わります。
理解していない人の対策は基本的に2つしかありません。
「病院に行くか。それとも、ドラッグストアで薬を買うか。」
です。
病院に行っても結局薬を買うことになりますが……。
これだから国の医療費が膨むばかりなんです。(前回のコラムをご参照に)

ま、今回は医療費のことは置いておいて、
風邪を理解している人は、真っ先に病院に行ったり薬を買いに行ったりはしません。
ではどのような対策をするのか?

僕はそれこそ小さい頃は風邪ばかりひく弱い子で、保健室の常連客でしたし、病院にもよく行っていました。
大人になってスパやウェルネスを学び始めてから、風邪をひくことはほとんどなくなりましたが、たまに風邪のひき始めの症状を感じたときにすぐに次のような対策を講じます。

■ティートリー精油でうがい
■ラベンダー精油やユーカリ精油で部屋に芳香浴
■食事の量は減らし、食べるものはフルーツだけ
■水をたくさん飲む
■サプリメントの量を倍にする。特にビタミンCやエキナセア、フィトケミカルの多いものを中心に
■お風呂に浸かってしっかり温める。その際、ラベンダー精油やティートリー精油を数滴入れる
■とにかくたくさん寝る
です。

だいたいこれで風邪を引きずることはありません。
ここで僕がやっていることは、抗菌・殺菌などに加え、特に大事なのが「免疫を上げること」です。
ではそもそも風邪とは何か?
風邪とは呼吸器系の急性炎症のことで、その原因の多くはウィルスによる感染です。
細菌やマイコプラズマなどによる感染もあります。
風邪になると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、せき、たん、発熱といった症状を引き起こします。
こういった症状は誰もが経験されていると思います。
とても不快なものですよね。

多くの人はウィルスを薬でやっつけるか、もしくはこういった不快な症状を薬で抑え込むことが病気を治すことだと信じています。
だから「病院に行くか?薬を買うか?」という選択肢になってしまいます。
結論を言うと、風邪薬でウィルスや退治できませんし、症状を抑え込んでも風邪は治りません。
ウィルスを退治できるのは唯一、身体の免疫だけです。
そして風邪の諸症状もウィルスなどの病原体から身体を守るため免疫反応の一つです。

どういうことかと言いますと、
ウィルスなどが身体に侵入した場合、身体はウィルスなどを敵とみなしてやっつけたり、体外に排除したりしようとします。
これを「免疫」と言います。
免疫という言葉は聞いたことある人は多いですよね。
疫とは病気のことで、疫を免れる(まぬがれる)と書きますから、そのまんまです。

ウィルスが鼻の中に付着して感染したら鼻水を出して洗い流そうとしますし、くしゃみで吹き飛ばそうともします。
喉から気管支に付着したら、セキや痰(たん)で外に出そうとします。
ウィルスは高い温度では増殖が弱まること、そして体温が上がることによって身体の白血球などの免疫細胞も活発になるため、発熱を起こそうとします。
いずれもウィルスに対抗しようとする身体の防衛反応です。

他の分かりやすい例を挙げると、花粉症も日本人には多いです。
花粉症とは、本来人間にとって敵ではない花粉を、身体の免疫機構が間違って敵と見なしてしまう免疫異常(=アレルギー)の一つですが、
花粉症の人は涙や鼻水が止まらないことが多い。
これは風邪のウィルスと同じように、花粉を敵と見なしてとにかく身体の外に出すために、涙や鼻水をどんどん出そうとするわけです。
でも花粉症で熱が出る人ってあまりいないですよね。
これは熱を上げたところで花粉は死なないですし、そもそも身体で増殖もしないからです。

つまり、人間の身体は侵入してきたそれぞれの敵に対して、身体の部位ごとに適切な防衛策を講じるわけです。
すなわち「風邪の諸症状=正常な防衛反応」なわけです。

ここまでは大丈夫でしょうか?

「風邪の諸症状=正常な防衛反応」であるはずなのに、熱が高いからといって解熱剤を飲むのはそもそもナンセンスなんです。
自ら身体の免疫を弱めているようなもの。
逆に風邪をひいたときこそ、温かい格好をして、身体の温まる物を飲んで、とくかく体熱を高く保ってあげることが大事なのです。

では、僕がやっている対策を一つ一つ見てみましょう。

■ティートリー精油でうがい
ウィルスや菌は鼻や喉が一番身体の中に侵入しやすい経路です。
それゆえ、喉はウィルスが一番溜まりやすい。
ティートリーの精油は殺菌・抗菌・抗ウィルス作用が強烈なのに、人間の身体にはマイルドであるという素晴らしいメリットを持った精油です。

■ラベンダー精油やユーカリ精油で部屋に芳香浴
どちらも殺菌や抗菌に優れた精油です。
ラベンダーのリラックス作用で、日頃のストレスの緩和と、安らかな睡眠を取ります。
またユーカリは空気中のウィルスや菌を浄化させます。

■食事の量は減らし、食べるものはフルーツだけ
風邪のときは食欲がなくてもがんばって食べて、滋養をつけないといけない!と考える人がいまだに多いですが、逆です。
風邪のときは消化器官をとにかく休ませてあげます。
フルーツは消化に負担が少なく、水分もビタミン類、フィトケミカルも豊富で、身体を守ってくれます。

■水をたくさん飲む
食べ物を摂らないから食べ物による水分摂取が必然的に減るし、発汗・痰・鼻水などによって水分を失いやすいので、水分摂取常は多めに。
水分は代謝を良くし、また発汗や尿などによって身体の老廃物や毒素を排泄します。

■サプリメントの量を倍にする。特にビタミンCやエキナセア、フィトケミカルの多いものを中心に
身体にウィルスが侵入すると、白血球などの免疫細胞は大量の活性酸素を放出してウィルスを退治しようとしますが、この活性酸素は同時に身体のいたるところに傷をつけていきます。ビタミンCやフィトケミカルは身体で悪さをする活性酸素から身を守ってくれます。
エキナセアはアメリカでメジャーなハーブで、ドイツでは薬として承認されています。
免疫を強力にサポートし、風邪やインフルエンザなどの感染症にとてもよいとされています。
(キク科の植物なので、あまりいないとは思いますが、キク科の植物にアレルギーのある人は注意)

■お風呂に浸かってしっかり温める。その際、ラベンダー精油やティートリー精油を数滴入れる
とにかく身体を温めます。
疲れるまで入浴はせず、また入浴後は身体が冷えないようにすぐに温かい格好をする。
アロマバスでリラックスして、同時に皮膚からも精油の成分を吸収しましょう。

■とにかくたくさん寝る
身体を休めてあげることが一番免疫力を高めます。
仕事を忘れて寝るのが一番!
どうでしょうか?
特に難しいことは一つもないですよね。
たとえばそれ以外だと、
空気中のウィルスを捕るために空気清浄機をフル回転させるとか、
部屋の加湿をするとか
水以外にハーブティーも飲むとか、
やってることはちょくちょくあります。
でも実は、これらはどれも僕が普段から心がけていることがほとんどなんです。
言い換えれば、風邪になったからといって、普段とあまり変わっていないんですね。
仕事は休めて寝ること以外は。

要は、普段から水分と摂って、ビタミンやフィトケミカルなどの栄養も摂って、体温を高めて、よく寝て、ストレスを緩和して、アロマテラピーやハーブ療法などの自然療法(ナチュロバシー)を生活に取り入れていれば、免疫力は高く保たれ、風邪をひきにくい身体になるということです。
だって風邪になってから対策を講じるよりも、健康な身体で風邪にならない方がそりゃいいですもんね。

ちなみに僕が風邪にかかってしまったときに、普段の生活に追加する分の1日のコストを概算してみると、
■ティートリーでのうがい 11円/滴 × 1滴 × 3回 = 33円
■ラベンダーとユーカリの芳香浴 10円/滴 × 2滴 × 2回 = 40円(ラベンダー) 9円/滴 × 2滴 × 2回 = 36円(ユーカリ)
■水 7円/ℓ × 1ℓ = 7円
■エキナセア 30円/粒 × 3粒 = 90円
■ビタミンC 45円/粒 × 2粒 = 90円
■フィトケミカル 280円/日

なので、風邪のときに僕が追加するコストは1日あたり536円。
病院に行くよりも、薬を買うよりも安いです。
ただやはり風邪の症状はつらい。
どうしてもきついときにはガマンせずに薬に頼るのも必要です。
熱が40度を超える熱が何日も続くと身体の機能に支障をきたしたり、セキが止まらなくてそこから肺炎になってしまったりすることもありますので、無理は絶対にいけません。

僕が伝えたいのは、
みなさんに身体や健康に関するインテリジェンスを増やしてもらい、「風邪になったら病院と薬!」という固定観念から抜け出し、自分の身体は自分で守ってほしい、ということです。
人生健康が一番だからです。
最後に小ネタを一つ。

風邪のときは基本的にあまり食べない方がいいですが、特に下記の3つは控えてください。
1、冷たいもの
身体を冷やしてはダメです。体温を上げるようにします。
2、甘いもの
特に砂糖です。体内の免疫は腸内環境が強く関係していますが、砂糖は悪玉菌のエサになり、腸内環境を極めて悪くします。
3、消化に負担のかかるもの
消化は体内のエネルギーを大量に消費します。風邪に時に大事なのは自然治癒力にエネルギーを向けてあげることです。特に肉類や乳製品は大きく消化に負担をかけます。

この3つにどれも該当する食べ物がありますよね?

そう、アイスクリーム。
僕は小さい頃、風邪をひくと、親によくアイスクリームを買ってもらっていました……。
正しいインテリジェンスがないってやっぱり怖いんですよ……。

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