ライフスタイルデザイナー高橋克彰の“ウェルネスのセンスを磨く” PART.8~日本の健康保険制度に喝!!~

ウェルネスに関心が高く、積極的に取り組む日本人はまだまだ少ない。
その原因はいろいろ考えられますが、大きな要因の一つに日本の健康保険制度があります。

4回目の記事にも書きましたが、アメリカは公的年金がなく、医療費は100%自己負担です。
病気は破産への一本道。

一方の日本は、医療費自己負担はほぼ一律3割負担。
風邪をひいたら、初診料と数日分の薬をもらってだいたい3,000円前後。

ところが、もしアメリカと同様に10割負担にしたらどうでしょう?
風邪をひいたら10,000円です。
10,000円ですよ!
「ちょっと風邪ひいちゃったから、病院行ってくるわ〜。」
ってそんな簡単に病院に行けます?

日本でウェルネスへの関心がいまだに低い原因の一つがこの医療費自己負担率です。

アメリカと同じように医療費が全額自己負担なら、まず間違いなくウェルネスへの意識が急激に高まるはずです。
自己負担が少ないがゆえに、みんなお医者様に頼ります。
スイスの健康保険制度を聞いたことがあります。
スイスでは居住者に対し健康保険の加入が義務付けられていますが、年間免責額が設定されています。
免責額に達するまでは自分で全額負担。
そして免責額を超えた分については自己負担が1割負担になります。
たとえば、ある人は年間免責額を10万円で設定していて、ある年に15万円の医療費がかかったとしましょう。
10万円までは全額自己負担ですが、10万円を超えた分、つまり5万円については1割の負担で済むので、
結果的に自己負担額は10万5千円となるわけですね。

免責額を低くすることもできますが、当然支払う保険料は高額になります。

僕はこのスイスの健康保険の仕組みはなかなか良いと思っています。
ちょっとやそっとの風邪で病院に行ったりはしません。

ちなみに僕はというと、小さい頃から風邪を頻繁に引いて、学校の保健室に通う常連でしたし、必ず近くの病院に連れて行ってもらってお薬をもらっていました。
また小児喘息を持っていたので、風邪をこじらせると喘息で苦しみ、入院も何度かしました。

今はというと、健康について様々な知識を得て実践しているので、風邪をひくことがあまりないため、病院にもほとんど行きません。
風邪のひきはじめの症状を少し感じると、僕なりの対処で風邪が大きくならないようします。
僕がやっていることは10,000円もかかっていません。
かかっても1,000円程度でしょうか。
これは次回紹介しますね。
そもそも健康保険や生命保険の起源は、18世紀から19世紀にかけての労働者階級のあいだで生まれた「共済組合」にあります。
例えば炭鉱で働いている人たちは、落盤事故だったり、爆発事故だったり、もしくは感染症だったり、誰もが災難に見舞われる可能性があったため、”たまたま”健康であった人が、”たまたま”不健康になってしまった人たちを手助けすることに合意していたわけです。
ところが現代の医療費をしめているのが、食事や運動、喫煙習慣など、生活習慣に根ざしたものが大半です。
生活習慣は個人の意識と行動次第でコントロールができる話ですから、昔の健康保険とは本来分けて考える必要があるのです。

でも日本はどんな病気でも誰でも一律3割負担。
つまりこれはどういうことかというと、例えばあなたが健康に意識の高い人だとします。
食事にも気を遣い、サプリメントで栄養も補う。スポーツクラブに行って筋トレやランニングマシーン、ヨガもする。
その隣で、昼間っからテレビの前でゴロンと寝そべって、ポテトチップスにコーラやビールを飲んで、タバコを吹かしている人に、
あなたは「はい、病院代だよ。」と言って何万円ものお金を手渡している。
日本の今の健康保険制度はこれと全く同じです。
納得できますか?

日本の健康保険制度は「一律3割」という一見すると公平に見えますが、僕は公平ではない仕組みだと思っています。
我々が支払う保険料は、先天的に病や障害を持っていたり、突然の不慮の事故に遭ってしまったという人に手厚く行き渡ってほしいお金なのに、毎日の暴飲暴食で自分をコントロールしなかった人にも同じようにお金が行き渡っているという、なんとも不思議というか、納得のいかない仕組みなのです。

そりゃ、国の医療費もパンクしますわ。

僕はこういった意味で、スイスの健康保険制度は良いと思っているわけです。
これは僕の提言ですが、例えば、メタボリックシンドロームの診断基準で、ウェストの周囲径が90cmになった人は、医療費負担を3割から5割に上げるとか、健康な人と、生活習慣で不健康になりつつある人でなにかしらの差をつけることが必要だと思います。
これのほうがよほど公平な医療費の仕組みですし、ガンや糖尿病などの生活習慣病の抑止力にもなります。
ただ近い将来、医療費の自己負担率は5割負担となるでしょう。
いずれ7割負担、そしてアメリカと同じように全額自己負担と、
医療費の自己負担率が上がっていくのはまず間違いありません。
なぜなら日本の健康保険制度はすでにパンクしているからです。
風邪をひいたら10,000円、という時代が来るということです。

「今のあなたが5年後のあなたを作り、5年後のあなたが10年後のあなたを作る。」
前回のコラムで書きました。
10年後にもし医療費が全額自己負担となっていたら、10年後のあなたは「ずっとウェルネスライフスタイルを送ってきて良かった」と安堵を感じているのでしょうか。
それとも「あ~、もっと健康に気を遣っていればよかった……。」と後悔を感じているのでしょうか。
1回10,000円を払っても病院に行きたいですか?
それとも風邪をひかない健康な心身を目指したいですか?
次回は、この季節がら風邪の人が増えてくるので、
病院や薬に頼らない風邪のときの対処法についてお話したいと思います。

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