アンガーマネジメント Vol.2「怒る事柄を決めましょう」

前回の『アンガーマネジメントPART.1〜あなたを怒らせているのは誰?』では、

・ 他人や出来事は変えられないが、自分の感情は自分で選べる。
・ 怒りは家族・恋人といった身近な人へ向かいやすい。

の2点をお話しました。

今回のテーマは、『怒る事柄を決める』です。

え?
アンガーマネジメントって、「怒っちゃいけない」っていう事じゃないの?

よく誤解されるのですが、アンガーマネジメント(怒りのコントロール)は、「怒ってはダメ」とは一言も言っていないのです。むしろ、自分が「怒るべき事」に対しては、正しい方法で相手に自分の気持ちを伝えて下さい、と教えています。

「怒り」は生物にとって必要な感情

そもそも、「怒り」の感情は、人間である以上、持っていなくてはいけない感情です。

ちょっと生物学的な事をお話しますね。

例えば動物が、森の中で天敵とハチ合わせしたとします。すると脳の中ではアドレナリンという攻撃ホルモンが分泌されます。すると鼓動が早くなって筋肉の血流量が一気に増え、俊敏に体を動かせる状態になります。

瞬時にして動物は「この敵と闘うのか、全力で逃げるのか」を選択する必要があるからですね。のんびりしていては命がなくなってしまいます。

これを専門用語で、「闘争逃走反応(Fight or Flight Response)」と言います。そしてこの反応が、怒りの情動と深く関わっているのです。

つまり「怒り」という感情は、自分の命を守るためにも必要な感情といえます。

でも、私たちが普段暮らす上で、命を賭けて闘う程の天敵は現れませんよね。でも怒ると、好む好まざるを得ず体は勝手にこの反応をしてしまいます。一日に何度もこの反応が起きていたら、体にはどのような負荷がかかるでしょう?

怒りっぽい人は、そうでない人より循環器系の疾患や高血圧になりやすく、その差は約3倍と言われています。怒りを爆発させている時は、自分の身も削っているという事を忘れないで下さいね。

「怒るべき事」と「怒らなくても良い事」を決める

私たちが一日に使えるエネルギーは無限ではありません。仕事だってしなくちゃいけないし、育児や家事だってしなくちゃいけない。そんな時、怒りにエネルギーを奪われてしまったらどうでしょうか?

疲れますよね。

アンガーマネジメントの第一歩は、「怒るべき事」と「怒らなくても良い事」を決める事から始まります。

自分が毎日どれ位怒っているのか、簡単に知る方法があります。

ブレスレットか指輪を用意して、朝起きてから夜寝る迄、自分がイラッとしたり怒ったりしたら、そのアクセサリーを左から右、右から左という風に左右付け替えてみましょう。男性の場合は、腕時計を怒る度に左から右にかけ替えてもいいかもしれません。

おそらく、身近にイライラの種がある人は、1時間のうちに何十回と付け替えるでしょう。

仮に1時間に10回怒り、その怒りが1分続いたとすれば、極端な話1日2時間プンプン怒っている事になります。

これが習慣づいているとしたら、自分の体と心にどれほどの負荷がかかっているか想像に難くないですね。

怒りに使うエネルギーは、なるべく少なく済ませたい所です。
ですので、まず「自分が怒る事」を決めてしまいましょう。

前回の記事を思い出して下さいね。
「自分の感情を選ぶのは自分自身」です。
当然、怒る事/怒らない事を決めるのも自分自身です。

仕事の遅い部下にイライラする、という人は、例えば「レポートを期日通りに出す」と怒る事柄を決めたら、それ以外にはイライラしないように「決めて」下さい。

感情コントロール全般に言える事ですが、自分が幸せになると「決める」。恐怖や不安には振り回されないと「決める」と自分で決断するのはとても大事です。

「決める」事から全てが始まります。

【今日のまとめ】
・「怒り」は、生命を維持するのに必要不可欠な感情
・私たちのエネルギーは無限でないので、まずは「怒る事柄」を決める

 

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