SFではローフードもポッシュなポットラックパーティー

こんにちは。サンフランシスコの関戸ミホコです。

こちらのローフード関連で面白いなと思うトレンドを一語で表すと、「メジャー化」。
ローフードダイエットはアメリカで70年代にアン•ウィグモア女史やヴィクトラス•クルビンスカス氏により食療法として紹介されて以来、90年代にデイビッド•ウルフ氏がより近代化したスタイルで世の中に紹介するまで、ある意味かっこ悪い、というかちょっとダサイ「ヒッピー文化」の一部であった気がします。なにせ、ローフードというと、家で種を水に浸して、発芽させたり、発酵させたり、という地味な作業が沢山あるので、どちらかというと農業に近いというか(決して、お百姓さんを侮辱しているのではありません!)、いやこれまたストイックなもんなんです。

そしてこれを実践している人達が、ヒッピーな人達が多いものでしたから、アメリカでは7~8年くらい前までローフードの「ポットラックパーティー」(誰かのお家に食べ物を持ち寄って集まる会)と言えば、もうバリバリドレッドロックヘア、スッピン、タイ—ダイTシャツ、麻パンツ、お香の匂いがぷんぷんの人達が集まって、チャクラだの、クンダリニだの、DNAアクティベーションだの(染色体は実は2本ではなく、見えない22本あるとか)アメリカ経済の退廃だの、「9月11日」の真実だの(私にとっては)すごくアナーキーでオモロい話をする場でした。しかしヒッピーはちょっとスノッブで高飛車な態度の人が多く、スノッブじゃない「外モノ」感が漂っていた私は、ポットラックパーティーから次第に足が遠ざかりました。

さて2010年代のアメリカではこのトレンドにちょっとした異変が起こりました。「ローフードメジャー化」時代の到来。世の中に先駆けて2004年にオープンしたNYの有名ローフードレストランPure Food and Wine は「セクシー感、高級感溢れるレストラン」としてデビューして以来(なにせコスモポリタンやなんかのアルコールカクテルありの健康食という概念が斬新)、人気ドラマ「Sex and the City」の収録ロケに登場するなど、マスメディアとタイアップしたお陰ですっかり現代文化にローフードという思想が一般化した模様。アンチエイジング、美肌効果に注目してハリウッド映画界やファッションモデルの間で実践する人が増え、デミ•ムーアもローフードがお気に入りのよう。そうそう、最新情報で、アメリカのメジャーテレビ局Food Networkでいよいよローフード料理番組が放映されることが決定!シェフの方と今お話しているところで、うまくいけば取材できるかも。何はともあれ、これでメジャー化決定というところでしょうか。

先日SFで行ってきたローフードポットラックパーティーはかなり「ファッショナブル」なものでした。企画運営の人達が、女優のようにきれいな、きっちり(天然素材系)メークした、きっちりお仕事をこなす種類のお姉様達。ローフードで磨いた美肌と美脚をうまく露出させたファッションで、ヒッピーとはほど遠いスタイル。「すばらしい!」と私は笑みを浮かべながら入場したもの。SF中心街にあるアートギャラリースペースでオーガニックワインありの、美しき夜(?)になりそうな気配のするイベントでした。やはり美しい人々の多いイベントに惹かれるのは人間の性(それとも美を愛する天秤座の私の性でしょうか)。中身だけでなく、見栄えにも気を配るところまでレベルアップした現代のローフード食文化は、これからもっと面白くなっていきそう。


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