ブータンしあわせ便り第16稿「た」~「旅」

昨年の国王様王妃様来日以来、「ブータンへいってみたい!」という方が急激に増えたと思います。

私が最初に「ブータン」と言い出した頃は「ふ~ん」みたいな感じで、実は誰も一緒に旅行にいってくれなかったので、私はツアーにはじめて一人で参加したほどでした。

ブータンを知ってからも、その高額なツアー代金のため、若い人はなかなか手が出ないということも多いかと思います。ブータンへ行くならヨーロッパには半額で行けてしまうので、なかなかブータン旅行が難しいのも事実。実際、ブータンへ旅行する大半は60歳以上の高齢の方となっています(ブータン観光局より)。

さて、ブータン旅行がなぜそんなに高額なのかという質問が非常に多いのですが今回はその点からブータンへの旅について書いてみたいと思います。

これはいわゆる「観光税」のためです。旅行人数により変化はありますが、ブータンへ入国するための観光税は一人一泊250ドル(2011年に値上げされました)、そう、1週間も滞在するとなると税金だけで15万円ほどかかってしまいます。
この観光税の中には、宿泊代金、移動費、ガイド費、食費などがすべて含まれています。このうち30%が政府への税金として納められ、あとは現地の旅行会社が残りでホテルやレストランを決定したりします。ですから、良心的な現地の旅行会社なら同じ税金を払っていても、良いホテルやよりレストランを選んでくれますし、そうでない現地の旅行会社なら、「路上でテント泊だった」とか、「ホテルでなく施設のようなところでとても寒かった」とか……といった話も私はたくさん聞きました。この点は同じ税金を払って旅行するのですから、できるだけいいホテル、いいレストランを選んでくれる会社を選ぶことをお勧めします。
ホテルの中には税金内で宿泊できるホテルとできないホテル(公定料金外)という2種類があります。アマンなど高級ホテルはこの「公定料金外」ホテルに属し、観光税のほかに追加料金が必要であったり、日本の旅行会社があらかじめその追加代金をプラスしてパッケージツアーを組んでいたりします。

250ドルのうちの70%を自己でマネージメントし、自己の裁量でビジネスができるということで、旅行社を立ち上げることはブータンでは今、大変人気です。30歳公務員のお給料が250ドルぐらいですから、一人でもお客さんがくればとても大きな収入になります。
旅行会社の社長さんの家に行くと、その電化製品や家の立派さに驚くこともしばしば……。

ブータン国内の移動ですが、これは入国前にあらかじめ「○○に△△時に観光」、「□□で◇◇時に食事」などといった詳細をビザを取得する際に政府に提出しなければならず、それ以外の場所には行くことはできません。
入国から出国まで現地のガイドが一緒ですので、首都などのお土産屋さん以外で自由行動し、交通機関を使ってどこかに自分たちで移動することもブータンではできません。

県境に関所が設けられており、ツアーでも個人でも必ず「通行許可書」のチェックが行われます。また外国人が立ち入ってもいい地域・道路は徹底して決まっており、ブータンの国土を考えるとき、ほとんどの場所には特別のビザがないと立ち入りすることはできません。

こうなると「ブータン旅行ってなかなか厳しいな~」と思われるかと思いますが、観光税も、立ち入りの制限もひとつは「生きとし生けるものすべてのしあわせ」に根差した、ブータン独自の国や自然を守るための政策です。

私が知る限りでは、ブータン旅行で一番厳しいのは食事です。
これは多くの旅行者が言われることですが、料理が日本人には脂っこくって、味付けが濃く、数日続くとちょっと大変ということです。また衛生面ではまだまだ整備が整っておらず、青空トイレ……なんてことも多々あります。お風呂やトイレなどの設備が整うのはまだまだ先のことで、ブータンの文化を考慮したとき、それらはなかなか難しいことのような気もします。

旅行のベストシーズンは場所にもよりますが、必ず立ち寄る首都なら5月から10月は雨の降る時期もありますが、暖かくよいかと思います。11月からはとても寒くなります。

日本とよく似た、けれどちょっと次元が違う国ブータン。大自然となごやかな人々の笑顔に文字通り癒されに、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。今の季節は最高です。

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