ハワイ島の東の先に位置するブナ地区。
延々と続く溶岩台地を車で走り抜けたところに、突然、うっそうとした森が広がる。そのジャングルの奥深くに、さまざまなコミュニティーやエコビレッジが点在する地域があるという。新しい生き方を求め、自然と調和した暮らしを学ぼうと、世界中から人々が集まるその土地に、長老的な存在であるフランス人女性・ヤナが住んでいる。
床も壁もドアもない家――。だけれども、キッチンにリビング、ベッドルームに子ども部屋、アートスペースまであると聞けば、どんな家を想像するだろう? 1日に30分ほど激しく降り注ぐスコールから身を守ってくれるのは、樹々の間に張ったタープ。家のまわりを囲むように植えた樹々や花々が壁の代わりとなり、大海からのそよ風がやさしく通り抜ける。
そんな家で、いったいどんな暮らしをしているのだろう?
電気は?水は?トイレは?
疑問だらけではあるが、事実、もう20年もヤナはこの土地で生きている。
朝日が昇るころに起きて最初にすることは、椅子に腰掛けて自分の時間を持つこと。
ほんの少し前にいた夢の世界に思いを馳せて、自分の心が何を感じているのかを知る時間だ。「自分自身との調和をとることを、自然と調和したくらしをすることと同じように大切にしています」とヤナ。
夢の世界が与えてくれるエネルギーを楽しんだ後は、庭や住環境の手入れをしたり、食事をつくったり、子どもたちの世話をしたりと、内側の世界を外側の世界に生かすための時を過ごす。娘が学校に行った後は、森に入って作業をしたり、家の中で働いたり。近所に住む仲間が、手の足りないところをサポートしてくれる時もあれば、ひとりでいたい時にはそう伝えることで、気持ちよく配慮してくれるのだという。
「縁があってかかわる人々はみな家族のように接しています」とヤナ。
“いま”というこの瞬間を分かち合う人たちは、お互いに学び合い、渡し合うものがあるからこそ、ここに存在しているのだ。家族のような仲間たちと、生きるために本当に必要なこととはなんであったかを思い出しながら、ひとつひとつ愛しんで過ごす昼の時間。動物や自然も含め、大地や人々とつながる時間だ。夕方になると、虫除け用に火をおこし、やがてディナーができあがるころには、あたりが蒼色に包まれるというジャングルの夕べ。眠りにつくまでの静かな落ち着いた時間が流れていく。
★「私たちが自分自身のことを愛することができたら、すべての人を愛することができると思います」
★「自分の深みにある思いを大切にしていくことから、その人らしさが生まれてきます」
★「いま、ここに、こうして生きていられるということは、いつも、必要なものはすべて与えられているということです」
世界中を旅し、生きる知恵を身につけてきた彼女の体験とスピリットから発せられる言葉は、私たちに大切な何かを思い出させてくれる。森の中でのヤナの暮らしぶりを知りながら、自分がどう感じるか、自分はどう生きたいのかを見つめるのにもってこいの一冊。たくさんのカラー写真からも、ヤナのシンプルだけれども豊かな暮らしぶりを知ることができる。
ヤナは今日も森の中で、“いま”という時を祝福して生きているのだろう。どう生きるかは自分次第。私たちの誰もが、あらゆる生き方を創造することができるのだ。
写真 稲岡亜里子
『ヤナの森の生活 ハワイ島の大地に生きる』
ヤナ著
ケイコ・フォレスト 訳
WAVE出版
1,680円(税込)
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J-WAVEの「ロハスサンデー」毎週日曜・朝6時~9時
http://www.j-wave.co.jp/original/lohassunday/
8月12日(日)放送に、
訳者のケイコ・フォレストさんが電話で生出演されます!
ハワイ島のジャングルの暮らしと
『ヤナの森の生活』のことをお話ししてくださる予定です。
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