自然界のすべてに通じる古代中国思想「五行論」PART.5

皆さん、こんにちは。美容鍼灸師の折橋梢恵です。
先日は、五行論の要素の中から、「土」に焦点を当ててお話をしてきました。今回は、その要素のうちの「金」についてご紹介していきたいと思います。

今年のオリンピック盛り上がっていますね~。金メダルを取るということは、なかなか難しいことだと思います。しかし、選手たちの活躍は、見ている人々に感動を与え、金メダル以上の価値があるのだと思います。
さて五行論の「金」は、自然界に存在する金属の特徴を表わしています。この「金」の意味する性質を中医学では、「従(じゅう)革(かく)」という言葉で表し、土の中に存在する金属や光輝く鉱物などの特徴、作用を表しています。

この金の性質、様子から金属のような「堅固」、「冷徹」「清粛」、また金属が変化する様子から「変革」、「収れん」などの特徴や作用を持っているものをすべて「金」の分類に属するものとして考えています。
この「金」の性質に当てはまるものを以前にご紹介した五行分類の中から、季節(五季)では秋、方位(五方)では西、色(五色)では白、味(五味)では辛が当てはめられています。
秋を表わす季語として「白秋」という表現がありますが、これはまさしく五行論で、秋は白と同じ金に属していることからきた言葉といえます。

またこのほかにも人体を作っている器官や組織の例として、臓器(五臓)では肺、五感(五官または五根)では鼻、人体に存在する液体(五液)では涕(鼻水)が当てはめられています。鍼灸の治療においては、鼻水や鼻に関する症状が現れているときには、肺の機能が低下していると考え、肺と関係するツボを治療します。

中医学において「肺」の働きのひとつに、呼吸によってきれいな気を体内に取り込み、汚れた気を排泄して気道や体内をきれいにする働きがあります。この働きは、金の特徴である「清粛」に該当するため肺は、金に属されているのです。

最後に一つ食生活に対するアドバイスです。
五行論で、「金」に該当する五味は「辛味」とお伝えしました。薬膳で辛味は、身体を温め、血流をよくし、気の流れを促進して、発汗を促すなど風邪の治療によく使用されます。風邪をひいているときは、肺の働きが弱っていることが多いので、これも五行論の考え方から説明することができます。
薬膳の考え方では、辛味の食材としては、生姜、唐辛子、シナモン、ネギ、ヨモギなどがあり、辛い味のするものが多く含まれています。日本では、風邪をひくと生姜湯を飲んだりしますがそれも理に適っている訳です。

このように五行論(五行説)の考え方は、自然界のあらゆるものから私たちの身体や身近なものすべてにおいて用いることができる考え方なのです。
皆さん、「金」の性質についても理解して頂けたでしょうか?

次回は、五行論(五行説)の五つの要素のうち、最後の要素「水」についてお話をしたいと思います。

★バックナンバーはこちら