現地からお届けします!LAローフード最新事情 前編

LAは西海のローフードーのメッカ
自然派やヘルシー志向者の多いロサンゼルス。環境を考え、動物愛護やスピリチュアリズムを追求する人たちも少なくありません。そうした彼らの間で今、一番話題となっている食事法がローフード。LAのローフードの最新事情を現地からお届けします。

LAは西海のローフードーのメッカ

サンフランシスコでローフードの小さな店を始め、ロビン・ウィリアムスやデミ・ムーアを虜にしたシェフのジュリアーノが『Raw: the Uncook Book』という料理本を出したのは、かれこれ10年前。2002年にサンタモニカにレストラン「プラネット・ロー」をオープンさせ、以来、LAっ子の間でもローフードが身近なものになりました。“リビングフード”とも言われるローフードは、ベジタリアンのなかでもユニークな存在として話題を集めており、現在、LA界隈に10店舗ほどのローフード・レストランが登場しています。ハリウッド近郊のエコパークにこの春オープンした「モーイ」は、ビーガン&ローフードのレストラン。吹き抜けの天井からはヴィンテージランプが下がり、アンティークのテーブルや布張りの椅子がバラバラに置かれているといった気張らない空間がお洒落です。『ドクター・スース』の絵本を使ったメニューにも楽しい遊び心がうかがえます。オーナーのステファンさんは、かつては音楽イベントの仕掛け人。いくつものパーティーで自らの料理を提供するうち、レストランを開いてほしいというファンの声が高まって、ついにこの店がオープン。ステファンさん自身、小さい頃から小麦アレルギーだったため、食には常に気を配り、この5年でビーガンからローフーディストになったのだそうです。「メニューはもちろんすべて肉・乳製品を一切使わず、小麦粉などの穀類も使わないグルテンフリー(グルテン不使用)。ローフードは火も通さずにつくった僕の創作料理です」とステファンさん。地元のファーマーズマーケットで手に入れた新鮮なオーガニック野菜や果物でつくられたステファンさんのお料理は、見た目にも美しく、素材の味や食感を活かした繊細な味わいです。
古い建物の1階を改装。雰囲気のあるレンガ造り  まるで昔のアイスクリームパーラーのような可愛い店内
Mooi 1700 W. Sunset Blvd., Los Angeles, CA TEL: (213) 413-1100 www.mooifood.com

素材のチカラで身体も心もすっきり

「エノキのズッキーニ“ベーコン”巻き」は一見シンプルですが、ヒッコリースモークのスパイスを加えたソースの仕業でズッキーニが本物のベーコンのよう。クセのあるエノキの味にぴったりです。また、「マンゴ・ココナッツクレープ」は、ディハイドレーター(※)で乾燥させたココナッツのクレープ生地のなかに、グリンピースとクルミをミックスしたカシューナッツの“クリームチーズ”をはさんだもの。ローズマリーもほど良く香り、上品なお味。付け合せのプチトマトさえ甘酸っぱく、味わい深いものに感じられます。そして、同店自慢のデザートのなかでも1番人気の「スニッカーズ」は、「ベジタリアンだけれど、甘いものだけは止められない」という女優アリシア・シルバーストーンも絶賛したというチョコレートケーキ。小麦粉は使用せず、カカオにピーナッツバターやナッツ類を加えたリッチな味わい。砂糖代わりのアガベシロップもほど良い甘さで、上にかけたラベンダーの花が優しい香りを添えています。また、カシューナッツとココナッツでつくる“アイスクリーム”には26種類のフレーバーがあり、アプリコットやイチジクなど新鮮な果肉が丸ごと入っています。「ローフードにしてから体重は落ちたけれど、もっとエネルギーが湧くようになったという方が多いですね。それから、味にとても敏感になったという方も。ローフードにはデトックス効果があるので、身体の毒素を排出すると、味がよくわかるようになるんです」(ステファンさん)。その結果、頭も心もスッキリし、食事も少量で満足できるようになるとか。確かにステファンさんのお料理には、そんな効果がありそうな気がします。※ディハイドレーター:ローフード調理用の食物乾燥機。温度を40.5度以上に加熱せずに食品を乾燥させる。
「エノキのズッキーニ“ベーコン”巻き」はソースが決め手

ドクター・スースの絵本を使ったメニューもお茶目 「マンゴ・ココナッツクレープ」はフィリングが絶品

女優アリシア・シルバーストーンも絶賛の「スニッカーズ」

こんなの見つけた!ローフード食品あれこれ

ローフーディストの需要に応え、まだまだ少数ではありますが、「ホールフーズ」や「エラワン」といったナチュラル系スーパーでは「ロー・コーナー」を陳列棚に設けています。気になる商品の一部をご紹介!
Raw Kale Chips(Kaia Foods)
ベジタブルチップス そのまま食べても良し、ディップをつけて楽しむも良し。ポテトチップス感覚で食べられる、ポテトチップスよりずっとヘルシーなスナックです。トマト、ビーツ、さつまいもなどバラエティーも豊かですが、今、多いのはケール。Kaia Foodsからは緑の濃いケールにピッタリのBBQ味やチリライム味が出ています。
Righteously Raw Cacao Bar(Earth Source Organics)
ローカカオバー 生のカカオを使ったチョコレートバー。

 

Earth Source Organicsのチョコレートバーは、オーガニックにこだわり、お砂糖代わりにアガベシロップを、塩にはヒマラヤソルトを使用。フィリングには、抗酸化力の高いアサイや、栄養豊富なゴジベリー、滋養強壮の素マカなど、身体に良いと話題のものばかり。

 

Photo: Masashi Hirota