森羅万象を神を敬い、言葉を大切に生きるアイヌの暮らしに触れる白老ポロトコタン

山の神、水の神、火の神……。万物すべてを「カムイ(神)」であると考え、自然とともに暮らしているアイヌの人々。北海道の原住民族として、一部から差別を受けながらも誇り高く、その伝統と精神を受け継いできた。「アイヌ」とは本来は「人間」という意味。「アイヌ・ネヌアン・アイヌ(人間らしい人間)」という意味は、多くの差別のなかで生きてきたアイヌの人たちにとって最も望む言葉だ。

Trinityでは以前、アシリ・レラさんというアイヌの聖地・二風谷でその地を守りながら暮らしているアイヌのシャーマンに取材をさせていただいた。15歳で、アイヌ女性活動家として活動を始めたアシリ・レラさんは、毎年、二風谷で開催される「一万年祭」の主催者でもある。大地の先祖や、参加者の先祖へのお祈り「カムイ・ノミ」をして、アイヌの文化に触れるさまざまなイベントや音楽を楽しみ、毎日夜中までお祭りが続く。

当時、アシリ・レラさんに活動の内容を伺ったところ、
「よく“人類の平和”と言いますが、平和になってもいいのは人類だけではないですよね。地球の回復と癒しをしなければ、私たちは生きられないと思います」と仰っていた。

言霊を大切にし、人としての道徳心が詰まった「カムイユーカラ」という神話を伝承、いつも自然や目には見えない叡智に感謝しながら生きている。アイヌの人たちの精神は本当に豊かであることを感じた。

そんなアイヌの伝統を垣間見れるのが、白老にあるポロトコタン。現在、アイヌの人たちは北海道のなかでも日高地方・二風谷に多く暮らしているが、白老はアイヌの人々にとって二風谷に続く聖地だ。


広大な敷地のなかには、アイヌの住居である「チセ」や、民族衣装、楽器などが多数展示されています。チセには必ず「神窓」と呼ばれる、神様が出入りする専用の窓が設けられていて、儀式に使う道具などはこの神聖な神窓を通って出し入れされている。


渦巻きが特徴的なアイヌの民族衣装。この文様は、魔除けを目的にしていて、開口部からの悪魔を侵入を防ぐため、着物の裾、袖、襟などには必ず文様が入っている。

 


眼前に広がるポロト湖は、周辺約4kmの小さな湖。自然のエネルギーをたっぷりと吸収できるような場所。白老の森は「自然休養林」に指定されていて、四季折々の彩りを楽しみながら、自然を散策することができる。

 

白老ポロトコタン
http://www.ainu-museum.or.jp/index.html