東北の魂を探る旅 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」 PART.4

21_21 DESIGN SIGHTでは4月27日より、「テマヒマ展〈東北の食と住〉」を開催します。
本展は、東日本大震災を受け昨年7月に開催した特別企画「東北の底力、心と光。 『衣』、三宅一生。」に続き、三宅一生とともに21_21 DESIGN SIGHTのディレクターを務める、グラフィックデザイナー 佐藤 卓とプロダクトデザイナー 深澤直人の視点から、東北の「食と住」に焦点を当てるものです。

武骨ながら繊細なイメージが強い東北の人々やモノたち。
「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」では洗練された展示のなかからも、その魅力を感じることができます。東北出身の方はもちろんのこと、すべての日本人が、琴線に触れる魅力を感じることができるはず。


川連漆器   Photo: Yusuke Nishibe


駄菓子   Photo: Yusuke Nishibe

大根   Photo: Yusuke Nishibe


麩   Photo: Yusuke Nishibe


ボッコ靴   Photo: Yusuke Nishibe


りんご箱   Photo: Yusuke Nishibe

展示会の企画協力を行った二人からのコメントはこちら。
奥村文絵(おくむらふみえ)/フードディレクター

「本展のために東北の山、海、里を巡って、美しく厳しい自然を肌で感じることができました。強く印象に残ったのは、この厳しい条件で生きるために、世代から世代へ、手から手へ、口から口へ、東北の人々が受け継いできた暮らしの知恵と工夫です。そして書き留められることもなかった食べ物の多くはいま、ものが溢れる現代社会のなかで居場所を失いつつあります。東日本大震災によって食品売り場から製品が消えたとき、目の当たりにしたのは、自分の手で料理をするという単純な営みが、温もりと希望をもたらす光景でした。当たり前だと思い込んできた食の営為、その未来を考え直すうえで、東北の知恵と工夫は懐かしさを越えて、実に多くの示唆に溢れています。本展でデザイン的視点から料理した手間ひまをじっくりと味わっていただき、私たちの未来と生き方に、新たな息吹を吹き込む手がかりとなれば幸いです」

プロフィール
1971年東京生まれ。’94年早稲田大学卒。東京デザインセンター勤務を経てフードコーディネーターの道に進み、2008年、フーデリコ株式会社を設立。ブランドコンセプトの開発と商品開発、パッケージ、空間、販促、ツール制作、食材の掘り起こしなどをトータルに導く手法で、日本の食のブランディングを手がける。また、ごはんブランド「800 for eats」を立ち上げ、全国の産地とともに開発する「贈る食品」という新たなマーケットの開拓にも力を入れる。

川上典李子(かわかみのりこ)/ジャーナリスト

「自然への畏敬の念と、冬の準備。風土を反映し、素材づくりに始まる制作。昨年開催した『東北の底力、心と光。「衣」、三宅一生。』の際、私自身、日本のものづくりの叡智を学びました。今回、『食と住』に焦点を絞って制作の現場を改めて訪ねる過程で再び感じたのは、気負いなく地道に作業に向かう人々の姿であり、工夫の数々です。今回もすばらしい方々と出会うことができました。人間の文化史の現われである、ものづくり。素材を熟知したスペシャリストの存在があります。経験のうえで“勘”が活かされ、さらに独自の工夫も始まっています。と同時に出会うのは、後継者不足の課題により、伝えられてきた手仕事のいくつかは近い将来に消えてしまうかもしれないという現状です。東日本大震災の影響も依然として横たわっており、長く生き続けてきた『東北の食と住』の精神に改めて目を向けることの重要性を感じずにはいられません。手や身体を動かし、作業の反復という時を重ねることで蓄えられてきた“知”。誠実なデザイン、信頼できるものづくりをいかに実現できるのか、さらには生活とは何かを改めて考えるべき今、『東北の食と住』は、現代社会が抱える様々な課題を示すと共に、我々に多くのことを気づかせてくれます。本展をふまえ、さらに多くの方々と、私たちの生活の今後について語りあっていきたいと考えています」

 プロフィール
『AXIS』編集部(株式会社アクシス)を経て1994年よりフリーランスのジャーナリスト、エディター。’94年〜’96年にはドムス・アカデミー・リサーチセンターのプロジェクトにエディトリアルディレクターとして参加。主な著書に『リアライジング・デザイン』(TOTO出版)、主な共著書に『ニッポン・プロダクト』(美術出版社)、編書に『天童木工』(美術出版社)。『thonik en』(美術出版社)ほかデザイナーの作品集への寄稿多数。2005年「Carrying―マイク・エーブルソンのデザインリサーチ」展(MDSギャラリー)ゲストキュレーター、’08年「WA―現代日本のデザインと調和の精神」展(国際交流基金、パリ日本文化会館はじめ’11年まで6カ国で開催)共同キュレーター。

 

▼展覧会企画チームによるギャラリーツアー
展覧会の魅力、展示について本展の制作に携わったガイドとともに鑑賞するツアーを開催します!
■6/16(土)14:00-15:00 奥村文絵
■6/23(土)14:00-15:00 西部裕介、本展企画担当者
■6/30(土)14:00-15:00 本展企画担当者
■7/7(土)14:00-15:00 川上典李子
■7/14(土)14:00-15:00 本展企画担当者
■8/18(土)14:00-15:00 本展企画担当者
■8/25(土)14:00-15:00 川上典李子

予約は不要です。開始時間までに会場にお集まりください。
参加費無料(ただし、当日の入場券が必要です)

詳細はこちらをご覧ください

▼テマヒマ展 〈東北の食と住〉

会期: 2012年4月27日(金)〜8月26日(日)
休館日:火曜日
時間:11:00〜20:00(入場は19:30まで)
入場料: 一般1,000円、大学生800円、中高生500円、小学生以下無料
会場:21_21 DESIGN SIGHT (東京ミッドタウン・ガーデン内)
〒107-0052 東京都港区赤坂9-7-6  Tel. 03-3475-2121
http://www.2121designsight.jp/

▼詳細は以下をご覧ください
東北の魂を探る旅 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」 PART.3

東北の魂を探る旅 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」 PART.2
東北の魂を探る旅 「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」 PART.1

▼展覧会公式SNS
「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」公式Twitter、Facebookにて、展覧会最新情報を随時更新。
Twitter: https://twitter.com/#!/TEMAHIMA
Facebook: http://www.facebook.com/temahima