日本唯一のIAOH(国際ヒーリング協会)認定ヒーラーによるタロット鑑定体験談 PART.5

「何をにやにやしているのですか。うちの子どもを馬鹿にしているのですかっ!」

既に女性はややヒステリックになっている。馬鹿にした笑いと、ふとほころぶ笑顔というものはニュアンス的に違うものだ。ただ、私は顔立ちが端正ではないので、その差が出にくいのかもしれない。

「いえ、ごめんなさい。つい、頼もしい息子さんになりそうだなあ、と嬉しくなってしまったので。えっと、息子さんは早熟の部類ではないと思われます。勉強に対して自分からヤル気が出てくるのが多分、早くて15歳くらい。遅いと17歳くらいですね。自分でしっかりと考えて、進路を見据えて勉強に対して興味を持ち出す年齢です。このくらいの年齢でヤル気が出てくる男の子は本当に伸びますから、心配は無いですね。ただ、中学受験は12歳になりますので、まだまだ呑気な気分で過ごしたい時期でもあるでしょう。それを踏まえて考えますと、本来でしたら息子さんは中学受験にはそれ程力を注がず、高校で受験するか、高校を卒業した後の選択進路で本領を発揮して自分で見定めた進路選択をしていくか、という選択肢が無難ではあるように思えますが」

「いえ、それでは困るんです。結局、息子は馬鹿なんだということですよね?」

「いえいえ。馬鹿ということは全く無いと思いますよ。何を基準にして馬鹿と設定するか、という問題もありますし。彼は伸びるでしょう。ただ、少し時間がかかる、というだけで」

最近の報告によると、モンゴロイドは一般的に晩成の傾向があるらしい。一番早熟なのはネグロイド、次がコーカサイトというのが一般論らしい。女性はまた深く溜息をついた。

「……中学受験で成功してくれないと困るんです。本当に。なんとか間に合わせる手は無いのでしょうか。中学受験に間に合うように脳を成長させる方法とか。インターネットなどで載っていますでしょ、そういう方法を試したらどうでしょうか。上手くいきますか」

「すみません。大変申し訳ないのですが、私はそのような脳を早く発達させる方法を知りませんし、インターネットに掲載されているそのような情報も余り信憑性を感じません。中学受験に対して全てに於いて何ら間に合わない、ということは無いと思います。鍛錬により、人は伸びてくるものですから。ただ、多分、お母様が望んでいるような学校の偏差値レベルに届くのは少し難しいのかな、と。もう少し、ランクを落とせば問題は無いと思いますよ。お母様が望まれているのは○○大学附属のレベルではないでしょうか」

「……はい、そうです…そこに入って欲しいんです。どうしても。」

「子どもという存在の可能性は、成長の時点では予測出来ない事柄が沢山あります。お母様としては○○大学の附属校に合格して欲しいわけですね。それは先々の希望として持っていらして全く構わないと思います。これから先、彼が伸びていけばその学校に大学から入ることも出来るわけですし。チャレンジ受験しても良いと思いますが、他にももう少し……」

女性は下を向いて聞いていたが、突然ぽろりと言った。