日本唯一のIAOH(国際ヒーリング協会)認定ヒーラーによるタロット鑑定体験談 PART.4

多分、このクライアントは「落ち着かない」息子さんに対して心配が募っている、というより「落ち着かないために勉強をしない」という状況に対して非常に不安を抱いているのではないかと今までの会話の中で感じられたからだ。

このように、クライアントの話題は最初から問題の核心について触れてくることは少ない。あちこちに飛ぶような話題の中から核心と思われる事項を拾い集めていく作業を必要とする。また、会話の構成や進め方に於いても配慮は常時、必要となる。

ここで女性は堰を切ったように話し出した。

「そうです、勉強をして欲しいんです。中学受験をして欲しいと思っているので、塾にきちんと行かせたいんです。大学がついている中学に行かせて、親の役目を終わらせたいんです。それなのに、ちっとも勉強しないし落ち着かない。塾の模試に行かせたけれど、終わったら1人で騒ぎ出すので塾側から注意されてしまいました。答案用紙も半分も記入していなかったので、その塾には入れませんでした。でも、一般的な塾では中学受験はその時点で失敗になってしまうんです。それではダメなんです。本当にダメです。何もかもダメになってしまうんです。塾に入ってきちんと勉強して、中学受験で成功することはあの子にとって一番、楽で安心な道なんです。早くその安心が親子で出来るようにしたいんです。でも、あの子は落ち着かなくて勉強が嫌いで……」

メビウスの帯のように話が起点に戻ってしまう。
このような場所で初めて会う私という人物に話しているので、緊張しているせいもあると思えるが、多分この女性は通常の会話でもこのような起点に戻る繰り返しの会話をすることが多いのではないだろうか。そう思いながら、ある程度納得するまで話はしてもらうことにする。時間は3分から5分。それ以上になると時間も勿体無いし、きっと話がそこから進展していくことも無いと予測されるので。4分ほど経過し、女性の話題が近所の同い年の子供との比較になった時点で私は彼女に問いかける。

「息子さんを中学受験させたいわけですね。人間には個体差がどうしてもあります。成長が早いお子さんは中学受験に向きますが、晩生のお子さんは余り中学受験に向かない場合があります。特に、女の子より男の子のほうが、幼い頃は早熟と晩成との差が大きく出やすいものです。また、特定の能力に於いてもこの差は出るものです。早熟であるから良いとか悪いとか、晩成であるからどうとかいうわけではありません。とりあえず、息子さんが中学受験に向く、早くから学力を伸ばすタイプかどうかを拝見してみますね」

「向かない、と言われても困ります。中学受験をしないと困るのですから」

「向かないから中学受験をやめなさい、と申しているわけではありませんのでご安心下さい。ただ、早熟か晩成かにより、中学受験までにどのくらい成績が伸びるか、という差はどうしても生じます。それを予測することにより、志望校のランク設定がしやすくなると同時に、中学受験した後の進路に関しても様々な考察と対応が出来ますから」

私は次のスプレッドに入る。どうもこの息子さんは晩成のようだ。でも、なかなか面白い物事の捉え方をするようで、成長するにつれて落ち着いてきそうでもある。ちょっと頼もしい感じの息子さんになりそうな予測に、私の顔は自然とほころぶ。