ストーンサークルと言えば、イギリスのストーンヘンジがお馴染み。高さが10m近くもある巨大な石が組まれ、その昔、ケルト民族の祭祀場であるなどいろいろな説がとかれていますが、多くは謎に包まれたままで、それがまだ神秘への興味を湧きあがらせてくれますよね。このストーンサークルは、日本でもたくさん発見されています。今回は、日本で初めてストーンサークルとして発表された「忍路環状列石」をはじめ、北海道小樽地方のストーンサークルをご紹介します。
※タイトルの写真は、同じく小樽市内にある地鎮山環状列石。
北海道小樽市から余市町。車で通ればほんの20~30分という距離のなかに、約80基ものストーンサークルが発見されています。
「忍路(おしょろ)環状列石」は、このなかでも最大の規模をほこり、江戸時代からその存在が知られています。
道路沿いの、ひっそりと掲げられている「忍路環状列石」の看板を見ながら進み、途中で車を降りてあるくこと数分。
まわりには民家や畑があるなかに、突然ストーンサークルが出現。
直径およそ30mくらいの楕円形にびっしりと石が並べられています。中央には、何かの祭祀を執り行う場所だったのかと思わせる部分も。
「西崎山環状列石」は、忍路環状列石から車で十数分の距離にあります。
こちらは、祭壇?を思わせる中央の脊の高い石のほかには、周辺に小さな石がびっしりと
おかれています。
縄文時代後期につくられたものとして記録されており、
近くには、岩壁に多数の刻画を残す日本国内でも珍しいフゴッペ洞窟があります。
洞窟に残された刻画には、シャーマンを連想させるようなものも残されており、
西崎山のストーンサークルも、フゴッペ洞窟と同じく宗教的儀礼の場であったのではと考えられています。
北海道は、国内のなかでも開発の手がもっとも送られた分、その土地に根付く土着の信仰が豊かに残されてきたのかもしれません。
イギリスのストーンヘンジのような雄大な迫力はありませんが、粛々と紡がれてきた精神性が確かにそこに宿っていました。
こちらは、西崎山環状列石からの眺め。
山と海、そして空が、一直線に広がるその大地こそ、この土地で暮らす人々の守り神だったのかもしれません。