幸福の国のブータン便り・第二稿「い」~いりょう=医療

心身ともに治癒される、「医療」というものは人間の生活にとって欠かせないものです。ブータン人の平均寿命は61.3歳、男性は 60.2歳、女性は62.4歳です。これはパキスタンやインド、戦乱の絶えないイラクと同じ水準。ブータンは近年、子供の致死率が減ったものの、50代後半の方と話していると、「あ~、あと何年生きることができるかな~。長生きしたいな~」なんて声が聞かれるぐらい。まだまだ平均寿命は日本に比べるとかなり低いです。(だからたとえば40歳という年齢でも、なんだかすごく年老いてとられちゃうのがブータンです)


ブータンの病院 

ブータンは医療費が無料です。怪我やあらゆる病気、病院でもらう薬はすべて無料。ガンなどの手術も無料です。そして私のような政府から労働ビザを得たもの、国連などの機関で働く外国人もみんな無料です。私も二度病院に行きましたが、会計所が存在しなかったことはとても印象的でした。
「幸せな人生」の中に、「医療が平等であり、そうあるには無料であるべき」というのはなんとも幸せの国ブータンらしい考え方です。


お医者さん、ジャージを着て診療。ブータンらしい……

そして私が一番ブータンらしくって、好きだな~と思えることは、「動物も医療が無料」ということ!
これは飼い犬、猫、鳥、牛などの家畜、捨て猫・犬、野生の馬や鹿……どんな種類でも、どんな病気でも、怪我でも無料なんです!

ある日滞在している村で大けがをした猫を発見し、「病院に連れて行かなきゃ!」といったときに、貧しい村だったので「私が医療費を負担しますから、病院を教えてください!」というと、一同、「なんのこと?」。
「医療費って?」……「無料に決まってるじゃない!」と。


お薬も診察室で調合し、いただきます

首都に帰って友達の犬のワクチンを打ちに行ったときも無料。
そう、人間も、動物も、生きとし生けるものはすべて同じ命なんです♪
しかし、学者さん曰く、「もし急にガンなどの手術を要する人が急に増えた場合は国庫では賄えない」とのこと。
乳幼児の致死率も下がった今、産業がなく、今後人口が増えるであろうブータンにとって、医療保障の問題はとても大きな課題となりそうです。