幸福の国のブータン便り・第七稿「き」~「気候」編

日本はそろそろ夏本番!この季節になると、「そろそろブータンに戻りたいな~」と思ってしまいます。
標高2700メートルの首都ティンプーは6月頃からとってもさわやかな気候に恵まれています。首都に限って言えば、「さわやかな気候」が6月頃から10月頃まで楽しめ、私はいつも、この時期にブータン行きます。

ブータンはヒマラヤ山脈という形状から、なんとなく「高冷地」のイメージが強いかと思いますが、実は標高7000メートルの寒冷地から低地は亜熱帯と、一つの国にたくさんの気候が存在しています。
たとえば私が教えていた学校は亜熱帯に属します。沖縄のような気候ですが、蒸し暑さはありませんでした。どことなく、穏やかな夏とでも表現できるような、そんな気候でした。

もちろん雨季もあります。首都に限れば6月頃から8月ですが、これも場所によって全く異なるので、旅行に行かれる際は、訪問地の気候を調べることは非常に重要です。
というのは、旅の途中で半日で温帯から亜熱帯へ移動ということも珍しくなく、冬になると0度から数時間後には20度なんてこともざらです。また一日の寒暖差もありますので、ジャケットやパーカー類は持参することをお勧めします。

豊かな気候に富むということは、それだけ自然と動植物の種類が本当に豊かで多様だということを意味します。ブータンに行くとまず目にするのはたくさんの緑です。そして手つかずの山々、轟々と流れる川です。川辺にはイノシシやサルが戯れ、道端には牛や犬が寝そべります。
大自然の中のこんな光景はブータンの信条である「生きとし生けるすべてのもののしあわせ」を基盤とした国造りですが、これはみずからの国に与え垂れた気候を感謝し、守り、慈しむ心から生まれています。

日本もブータンと同じように多様な気候に冨み、自然が非常に豊かな国です。どのような方向性に舵を切るかは……国の担い手である私たち次第なのではないでしょうか。

さわやかな風、青々とした緑、穏やかな太陽のブータンが恋しくなる季節です。


車道。霧がかかると山へ転落事故が多くなります。ブータンにはガードレールなんてほとんどありません


雨季、土砂崩れで数時間通行止め、なんてのはしょっちゅうです 

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