人々の祈りのエネルギーがつくりだした香港のパワースポット「心経簡林」

アンディ・ラウとトニー・レオン共演の『インファナル・アフェア』シリーズなど、香港映画を見たことがある方ならば、作品のなかできっと一度はご覧になったことがある、香港・ランタオ島(香港名:大嶼山)。大仏が山の頂上にそびえ立つ風景を覚えている方も多いのでは? 香港最大規模の禅寺・寶蓮禅寺があり、野外大仏としては世界最大の天壇大仏が鎮座していて、神聖さや静寂を感じさせるランタオ島は、香港を象徴する場所の一つです。香港と言えば、夜景やショッピング・食事が人気ですが、その華やかさとは一線を画した別の一面を見せてくれる島なのです。 2006年には、ケーブルカーのゴンピン360が開業したことも、観光客が急増した理由です。 そして、このランタオ島で今最も注目されているパワースポットが「心経簡林(Wisdom Path)」。ランタオ島のなかでも、ひときわ強いエネルギーを充満させる場所として、香港の方たちはもちろん、世界中から観光客が訪れる話題の場所です。 心経簡林が多くの人を引き付ける理由は、まずその眺め。 寶蓮禅寺から徒歩で20分ほどの山の丘に、高さ10mほどの38本の木柵が、∞の模様を描く形で立てられています。高い木柵が並んでいる光景は圧巻。見上げると、開放的な空が目に入ります。 その木柵に彫られているのが、般若心経。そこを訪れた人たちは、∞の形にそって、一つひとつ、木柵に書かれた般若心経を読み進めるのです。 実は心経簡林は、歴史的な遺跡ではありません。 2001年頃、香港では社会不安や経済不振により、人々は困難な状況に立たされて活路を見いだせない状況に陥っていました。香港でそんな状況を打破し人々と社会を明るくしたいと、中国国学者の饒宗頤教授が、38本の木柵を制作し寄付しました。折しも、香港や中国大陸でSARSウイルスが流行したのが2002年頃。人々の疲労や絶望は限界まで達していました。そこで香港政府が、2003年にこの木柵をランタオ島に野外展示をすることを決定し、20004年に着工、2005年に完成しました。 比較的新しい人工の展示でありながらここまで人々をひきつけるのは、醸し出される神秘的なエネルギーもさることながら、饒宗頤教授をはじめとした香港の人々の、幸せへの強い願いが込められているからかもしれません。 38本の木柵に刻まれた文字で、般若心経が完成しますが、実はそのなかの1本には文字が刻まれていません。意味するのは「空」。無の境地です。突き抜ける空を見つめ、その意味を感じ、受け止めましょう。 一つひとつの意味を読み込み、自分に落とし込んでいくうちに、∞の形の巡礼が終わります。 すると、悩みや悲しみが安らぎ、心が確かに穏やかになっていることに気付くはずです。 華やかさにばかり注目が集まる香港。しかし、人々が心の拠り所とし、祈りを捧げる場所もたくさんあるのです。 香港の人々の真摯なエネルギーが作り出した神聖な場所・心経簡林。香港を訪れた際には、ぜひこのエネルギーを体感してください。 ■アクセス ●MTR東涌駅からバスを利用⇒寶蓮禅寺へ⇒徒歩約20分 ●MTR東涌駅からケーブルカー「ゴンピン360」を利用⇒寶蓮禅寺へ⇒徒歩約20分 (定期点検や故障等により、不定期に営業休止の場合があります。利用希望の方は、事前にお調べください) ゴンピン(昂坪)360 http://www.np360.com.hk/html/chi/front/index.asp ■香港特別行政区政府 旅遊事務署 http://www.tourism.gov.hk/tc_chi/current/current_heart.html#2 ⇒制作の工程はこちら http://www.tourism.gov.hk/tc_chi/current/current_heart_01.html