ワールド スピリチュアル ニュース
ドイツ編 vol.4 オーガニックが根付いたドイツのライフスタイル

世界各国のスピリチュアル通特派員から届いた現地のリアルな情報を発信する「ワールドスピリチュアルニュース」。4回目となる今回は、ドイツから日常生活に溶け込んだオーガニックについてレポートしていただきました。単なる健康ブームやトレンドではなく、深くライフスタイルに影響を与えている現地でのオーガニックの存在に、改めて注目です。

60年代からじわじわと社会に浸透した、ドイツのオーガニック

昨今のオーガニックブームがはじまる数十年も前から市場を開拓し、常に世界をリードしているドイツ。ここ数年またぐんと勢いを増し多くのドイツ人に定着しつつあります。60~70年代の緑の革命以来、ごぢんまりとした伝統的な個人経営のオーガニック食品店がそのはじまりです。80年代に現在ドイツ国内で急速に店舗数を増やしているチェーン系のオシャレなカウント系のスーパーでも、積極的に専用コーナーを設けたりしています。製品の種類や数、選択肢が圧倒的に増え、また需要に伴い価格も従来に比べ手に入りやすくなったため、特別に裕福でなくても、オーガニックの贅沢を味わいやすくなりました。

 

オーガニックを共通項に集う、さまざまな信条を持った人々

なかでもチェーン系のオーガニックスーパーは、圧倒的な商品数、オシャレで明るい広々とした店舗の雰囲気、さらにドイツでは珍しいサービス精神と笑顔のある接客で人気急上昇中です。魅力的な商品やディスプレイだけでなく、買い物を楽しむ人々を観察するといろんな発見があります。まずここでは、魚や肉を使わない健康的でユニークな食材も揃っていることから、ドイツの菜食主義者たちが多く集まっています。また、店内には最近ドイツでも人気のインド・アーユルヴェーダ、日本食・マクロビの食材を扱うコーナーが設けられていて、実に内容もレベルも本格的。ドイツにいながら、まったく妥協することなく、それらの独自の哲学に貫かれた食事法を実践することが可能なのです。……このようにいろいろな考え方や生活、食習慣を持った個性的な人々が集まる場所でもあるのですが、それぞれの信条には違いがあっても「オーガニック」というキーワードで、個人に世界観が1つに結ばれているのがとても興味深いところです。

「食べる」とは「どう生きるか」ということ

ドイツ語で「食べ物(食料)」は「Lebensmittel=生きることの手段・媒体」といわれるほど。本来ドイツ人にとって「食べる」ことは、単に空腹を満たしたり瞬間の美味しさを味わったりする享楽的行為というより「自らの生をつないでいく」という、主体的で哲学的な意味合いを持つものです。つまり「何を食べるか」という選択は、「自らの信条や生き方を直接反映している」のです。たとえばドイツ人の菜食主義者でも、自らの健康に悪いからという理由のみで肉を食べることを避ける人ももちろんいますが、牛や豚が摂取する大量の穀物は、環境破壊や世界の食糧不足を加速させるからという理由で肉を食べない人、動物が食用に残酷な方法で殺されたときは、死の瞬間の痛みや苦しみが肉のなかに波動として入り、それを食べることで自分にも負のエネルギーを取り込むことになるという考えから肉を避ける人など、千差分別な考え方が背景にあるのです。また、ドイツ人は動物愛護精神に富む人々がとても多いのですが、それはオーガニック卵のパッケージなどを読むとよく分かります。「卵を産む鶏はブロイラーではなく、オーガニック餌で育っている」という描写にとどまらず「鶏たちは日中は外に出て新鮮な空気と日光を楽しみ、また小屋のなかには自由に身動きができ、止まり木もある広々とした場所である」ということなどが詳しく記されています。生き物として救われ愛情一杯も育てられた鶏たちが、私たちに生きる糧を与えてくれることを認識すると、美味しいオーガニック卵をより感謝の念を持って頂くことができます。

全粒粉のルネッサンス(再生)。雑穀も人気急上昇

日本では近年マクロビ人気もあってか、玄米をはじめとした未精製の穀物や雑穀に注目が集まっています。ドイツでも全く似た動きがあり、SUSHIブームを皮切りに日本食やマクロビも認知度が高まって、お米派も大分増えてきました。が、それでもやはりドイツは伝統的にパンの国。特にパンの種類の多さは世界一ともいわれ、また、精製された白いパンよりも未精製の全粉タイプのパンの方が、ビタミン・食物繊維・ミネラルに断然富んでいるということが話題となり、健康や美容への関心が高い人たちの間でシフトが起こっているのです。雑穀の人気も同様。キヌアやアマランサスなどのパワー穀物を好きな分量加えるなど、独自のレシピでパンを焼くこだわり派も増えています。アットホームなオーガニック食品店では穀物を挽くための専用の手動の機械が設置してあり、無料で自由に使用できるようにもなっています。家に帰って「挽きたての新鮮で栄養に富む穀物で調理」という、スローで贅沢な生活の質を存分に、堪能することができます。パンに加えパスタ料理も人気のドイツですが、現地ドイツ国内で人気を博しているチェーン系のカジュアルなイタリアンレストランに茶色(全粒粉)パスタが登場し、話題を呼んでいます。カウンターに並びメニューから好きなパスタの種類とソースの組み合わせと選び、一人ずつ目の前で調理してもらうスタイルがこのレストランの人気の秘密。種類豊富なパスタのなかでも、全粒粉パスタを選ぶ客層が確実に増えていることから、レストランの看板コピーは「全粒粉はオーガニックと同様に、ルネッサンス期真っ最中!」。まさに全粒粉のルネッサンス(再生)といった勢いを感じます。

ラグジュアリー・オーガニックが今後のトレンド

ヨーロッパで盛んに話題に上がっているのが、これからのオーガニックブームの行方についてです。オーガニックが将来の成長市場というコンセプトが確実となった今、日本を含め世界各国でも魅力的なオーガニック製品の開発、生産に本格的に力を入れはじめています。競争が高まってくるなか、フェアトレードやオーガニックということに加え、以下にそれぞれの製品が地域ごとの特性が活かされたユニークなものであるか?背後にどのようなストーリーがあって、どのような人々がどのような気持ちでつくっているか?などにもっと焦点が移ってくるとみられています。「大量生産できない希少価値あり、同時にラグジュアリーである」が生き残りのポイントになりそうです。重厚な哲学と信条をベースに発展を続けているドイツオーガニックの今後の発展に、ますます注目は集まっていくことでしょう。

*今回のTRINITY特派員*

緒方・ヴェストベルグ・美樹さん

 

オーガニックビューティーアドバイザー。日本人で初&唯一のドイツ・レフォルムハウスアカデミー正式認定「ナチュラルコスメコンサルタント」。セミナー・ワークショップをはじめ、GermanOrganicBeautyでは、現在1000人を超えるメンバーに、オーガニックコスメを使ったスキンケア、ドイツ式エステ・自然療法を軸に独自開発したメソッド等を、広く伝授。多くのクライアントのお肌のトラブルを解決、美肌に導く。またヨーロッパの環境・オーガニック・ライフスタイル・美容情報に精通、ブログや雑誌執筆を中心に、リアルタイムで情報発信中。【GermanOrganicBeauty】http://www.germanorganicbeauty.de/

【GermanOrganicBeautyブログ】http://www. germanorganicbeauty.de/blog/

Photo&text:Miki Ogata-Westberg 次回はハワイのスピリチュアルをお届します。お楽しみに!