スピリチュアルワンネスを探す旅 番外編ゲスト 綿本彰さん

8月29日に発売されたTRINTY vol.28に掲載している須藤元気さんの人気連載「ワンネスを探す旅」。今回の対談相手はパワーヨガの第一人者・綿本彰さん。本誌では紹介しきれなかった内容を番外編と題して特別にwebでお届けします。Photo:Masafumi Sawazaki(VANESSAA(embrasse))

今回のゲスト 綿本彰さん(日本ヨーガ瞑想協会総師範)

 

正しい瞑想方法を二人が指南!

編集部(以下編):綿本先生はヨーガでダイエット、という即物的な効果よりヨーガの精神を伝えたいと瞑想の本も多数出版されています。綿本先生、須藤さんお二人とも現代人に瞑想は必要だと思われますか?

綿本さん(以下綿):型にハマった瞑想ではなく、映画を視る、音楽を聴くことだって瞑想になります。電車のなかでもできるし広い意味で瞑想は必要だと思いますね。

須藤さん(以下須):僕にとって瞑想とはしないと気持ち悪いのではなく、すると気持ちいいこと。ずっとしていないと余計なことを考えたり、気持ちもブレます。そこで「あ、瞑想してなかった」と気づくサインにもなるんです。自分の中心に還る行為ですね。忙しいときにこそ瞑想しないとね。すると随分、人生が楽になったので、強制はしませんけれどオススメします。瞑想は目に見える結果はわかりにくいので、過去には疑ってしまうことが何回かありました。綿本先生のようにヨーガで何度も瞑想の領域に入られる方は、効果が実感しやすいのかもしれません。現役時代にやっても前頭葉がフル回転して全然瞑想になってない(笑)。ただ練習でランナーズハイのような凄く苦しいときに一瞬楽になるんです。それでずっと練習ができるときがあったんですが、あれは一種の瞑想状態だと思います。肉体が臨界点を超えたときの感覚があったので、瞑想ができたのだと思います。

綿:確かにメンタルだけの領域で、瞑想をしようとすると難しいと思います。身体を動かしながらアプローチする瞑想がヨーガ。ポーズ全てが瞑想のためにありますし、チャクラという言葉を使わなくても、たとえば骨盤が安定する感じですとか、胸を開放する感じ、それらを集合させると瞑想になります。

須:実は身体を使わないと瞑想って入りにくいものですね。TRINTY読者の方もそうですが、スピリチュアルに興味がある方は頭で考えがちだと思うんです。「瞑想のコツはないか?」という考えを捨てることが瞑想。小手先ではできないものです。昔の僕は小手先ばかりでやってましたからわかります(笑)。悩みのある人はイスに座って考えるのではなく、歩くといいですよ。歩くことに集中するので問題にフォーカスしなくなり、ランナーズハイになる。ひとつの瞑想状態に入りますから、身体は使っていかないと。

編:ヨーガを行えば悟りに近づけるのでしょうか?

綿:最終的には積み上げたものでさえも手放して、受け渡し捨ててしまうぐらいの気持ちをつくってただ感じることです。そういう状態をつくるもの。最後の領域になったらコツとかなにもないのです。ひょっとすると師匠と弟子がいて、強烈な信頼関係があればポンと引っ張っていける方法もありますけど、それが良からぬ方向に行くと大変ですしね。洗脳とか(笑)。

須:打算で付き合うと信頼関係はできませんし、ピュアな部分がないと。スピリチュアルな力を借りて成功しようと学生のときにいろいろテクニックばかり勉強しましたが、その時読んでいたきれいごとのような言葉が大切なんだと気付きました。昔は感謝しようとか、そういう言葉は全く頭に入ってきませんでしたから。今となってはそれがないと成立しないなって思います。

綿:素晴らしいですね!

 

綿本先生はヨーガの山の何合目にいる?

編:ではここで質問タイムです。お互いに聞いてみたいことをどうぞ。

綿:とても聞きたかったことですが、試合の直前ってどんな感じなんですか?想像がつかなくて(笑)。

須:早く終わらせたいな、というのが正直なところです(笑)。会場が広いとお客さんの顔が見えないので、ドームクラスは緊張しないんです。周りが暗くてリングが明るいし。後楽園ホールなどに近くてつぼ状の場所はお客さんが丸見えなので、小さい会場の方がそれらを悟られないようにするかだけであって。試合前は「なんでこんなことやってるんだろう僕」とか言ってましたね(笑)。弱音を吐くと周りが笑ってくれるので、その笑いをエネルギーにしてました。

綿:比較することは無意味ですが、見た目にはほかの選手より余裕を感じましたけどね。

須:入場してしまうと吹っ切れますね。凄く冷静で、俯瞰しているような感じになります。でも僕らからも質問です。絹本先生はヨーガをはじめてどのぐらいになるんですか?

綿:本格的には15年です。 須:一芸十年とは言いますが、15年やられていてヨーガのスタイルは変わるものなんですか?歴史が浅くてアバンギャルド(前衛的)になる先生はもっと自分に合った形のヨーガを追求しているんですか。先生にとっての究極のヨーガとはなんでしょうか?

綿:両方ですね。行きつくところまで、自分自身のヨーガを深めていきたい。それは極限な精神状態という意味でも、あるいはその経験を経て生き方にも反映されるような深いところまで行きたいなとは思います。古典文献が示すような、トラディショナルなものかもしれません。

須:伝統的なものをアバンギャルドに変えていこうとは思わないのですか?

綿:変えていきたいですし、逆に自然と変化し続けていますね。形だけではなく、本当の意味でヨーガを深め、ヨーガ的に生きていくには即存のものだけでなくて、いろんなものを吸収していく必要があります。また、自分がいいと思っても、相手がいいと思わなければ方法論の押し付けになってしまうので、興味をもってもらうために一人ひとりに合った溶け込んだ方法が必要だと思います。自分のスタイルをつくるつもりはいんですけども、そういったことを意識しながら自分自身のヨーガを実践していると毎日変化していくんです。

須:ヨーガを極めるというゴールのとらえ方が難しいのですが、極めることが山の頂上だとすると、先生はヨーガの山の何合目にいらっしゃるんですか?パワーヨーガだと一番認知度も高いですし、そういう有名な方が何合目なのかが気になります。

綿:うーん……。1合目に行っているか行ってないか、というところですね。

須:えー!そうなんですか? 綿:いろいろ考えると行ってないのかな、と思います。自信をもって私はできてないんですけど、全体の総量を考えると正直に言ってできているのは1割ぐらいですね。謙遜でもなんでもないですけど、そんな感じですね。

須:……。僕らはまだ山登りもはじまっていない状態なんですね(笑)。綿:そういう言い方をすると私を師としてくださる方に失礼なのかも知れないですが、そんな私でもヨーガの素晴らしさを深く痛感していますし、その実感できている範囲のものであったとしても、強い信念を持ってお伝えできればとても有意義なことと思っています。

須:ヨーガの世界は奥深いですね。今日はありがとうございました。

 

綿本先生によるデモンストレーション。須藤さんも思わず「凄い!」と感動。

綿本先生は「この写真、使ってくださいね(笑)」とにっこり。

 

Genki Sudo すどうげんき・1978年3月8日生まれ。元総合格闘家。2006年引退し、現在は俳優、作家、思想家とマルチに活躍中。チャリティーにも精力的に参加し「WE ARE ALL ONE(全ては一つ)」というメッセージを発信している。著者に15万部を突破した「風の谷のあの人と結婚する方法」(ベースボール・マガジン社)、「レボリューション」(講談社)、「無意識はいつも君に語りかける」(マガジンハウス)など。公式サイト&ブログcrnavi.jp

Akira Watamoto わたもとあきら・綿本ヨーガスタジオ主宰。大阪生まれ。幼い頃より同協会の名誉会長であり、父である故綿本昇師からヨーガを学ぶ。神戸大学システム工学科卒業後、インドに渡り各地でヨーガ、アーユルヴィーダを研修。各地でさまざまなスタイルのヨーガを学び、94年にヨーガ指導を日本でスタート。2003年、日本初となるパワーヨーガ専門スタジオ「綿本パワーヨガスタジオ」をオープン。著者に「シンプルメディテーション」(新星出版)、DVD「綿本彰のパワーヨーガ パーフェクトレッスン」(NHKエンタープライズ)など多数。綿本ヨーガスタジオホームページwww.yoga.jp

須藤元気さんの連載はこちら!! Vol.24 第1回:グッドニー・グドナンさん(リチュアルマスター)Vol.25 第2回:桐島洋子さん(作家)Vol.26 第3回:帯津良一さん(医学博士ホリスティック医学協会会長)Vol.27第4回:茂木健一郎さん(脳科学者)Vol.28 第5回:綿本彰さん(日本ヨーガ瞑想協会総師範) 次回のTRINITYは11月下旬発売予定。お楽しみに!