神の化身であるババは、私たち人間と同じように歩き、話します。しかし、過去生から霊的な学びを深めてきた人、過去の多くの人生で善行を重ねてきた人は、ババに全く違った神性さがあることがすぐに見極められるようです。
アシュラムを訪問した日本のある宗教団体に所属する講師は、「ババが神であることは明白です。それが感じられないのはその人の霊的学びが浅いためです」と話しました。今の時代は、メディアが発達しているため、世界中の人に情報が伝わるので、昔よりずいぶん多くの人がババを神の化身として受け入れているようです。
とは言え、太古の昔からどの神の化身のケースも、死後に大衆に神の化身として認識されることが普通であり、生存時に認識できる人は非常に少ないとババがよく話します。幸運な人が奇跡を体験して確信することも多々あります。今回はある人の面白い体験談を紹介しましょう。
インド人の年配のラーマチャンドラ氏は、少年時代、友達に乾いた井戸に突き落とされてしまったことがありました。それは1930年頃のことでした。友達は逃げてしまい、ラーマチャンドラはそのまま井戸の底に取り残されてし
まって泣いていました。すると、通りかかりの見知らぬ行者が助け出してくれたのです。行者は少年に言いました。「誰のことでも安易に信じてはいけませんよ」。2人でラーマチャンドラの家の方に向かって歩いていましたが、
ふと気がつくと行者の姿が見当たりません。そこは四方を見渡せる広い荒野だったのです。隠れる場所なんてありません。少年ラーマチャンドラにとって忘れられない不思議な出来事でした。しかし、話はここで終わりません。
大人になって結婚し、孫もできてからラーマチャンドラはバーラサイババのことを人から聞いて、カルヌールの町に会いにやってきました。ダルシャン(一般の人がババに会える場)の時に、ババを見てラーマチャンドラは仰天し
ました。なんとババは、少年の頃に自分を井戸から助けてくれた行者にそっくりだったからです。でも、ババは全く当時と同じ若さです。ババはラーマチャンドラに微笑んで近づき、ヴィブーティ(神聖灰)を物質化すると、祝福の証にラーマチャンドラの額につけました。ラーマチャンドラはババにナマスカーラム(手を合わせるあいさつ)をすると、興奮して尋ねました 。
「あなたは私が少年の時、井戸から私を助けてくれた方ではありませんか？」
「そうです。そして、私は言いましたね。“誰のことでも安易に信用してはいけませんよ”と」
この体験の驚くべきところは、ラーマチャンドラを井戸から助けたのは、ババはまだ生まれていなかった時に起こったというところです。ババは1960年生まれですから、その30年も前にババは姿を見せていたことになります。
まさに神の存在は時空を超えることを証明しています。
例えば外国人でも、病気になった時にずっとババが姿を現し、ずっとそばについていてくれたとか、ババが同時に複数の箇所に存在した話は山ほどあるのです。ババが勧めている奉仕プロジェクトの一つで白内障の手術をしている時に、医師の姿がババの姿に変わっていたことを認識したインド人の話もよく耳にします。しかも、このインド人の患者たちの全てがババの帰依者というわけではありません。彼らのほとんどがメディアもない貧しい田舎に住み、ババの恩恵を受けて無料で治療を受けているだけで、ババに会ったことさえないのです。この眼科専門医は長年ババの帰依者で、ジャヤプラカーシュと言います。彼は白内障や生まれつき盲目の人の手術を行なってきました。時には食事も休みもとらずに24時間、手術をし続けることもありますが、少しも疲れることを知りません。白内障の手術は一人5分で終わらせる手腕のち主ですから、一日に数百人の人を治療してしまいます。ジャヤプラカーシュ氏の奉仕の心に応えて、ババが力を貸してくれているのです。そのことを当の本人だけでなく、見学に行った多くの外国人訪問者たちも神の力を感じ取りました。
ババのアシュラムに住んでいる人や帰依者、訪問者にとって、このような奇跡は驚きでもなく、特別なことでもありません。それは日に三度の食事を取るのと同じようにいつも普通に起こることです。私の場合、何故かババを知る前にはそんな体験はしたことはありませんでしたが……。
(文・葉山 理奈)
今回ご紹介したように、ババの奇跡の話はババが生まれる前から起こっています。不思議な話、幼少の頃に起こした奇跡の話がたくさん詰まったバーラサイババの話をもっと知りたい方は、是非「静かな夜の落とし子 ― バーラサイ」(柏艪舎・はくろしゃ)をお読みください。小さなバーラサイが起こすこの冒険物語は実話であり、幼い子どものものとは思えない言葉のなかに大切なメッセージが込められていて、私たちの人生を変えます。
