宮崎ますみさん連載 第2回 胎児期の記憶

宮崎ますみさん連載 第2回 胎児期の記憶

あなたは生まれる前のことを覚えていますか? 中には大人になっても、はっきりとお母さんのお腹の中にいたころの記憶をとどめている人もいますが、ほとんどの方が忘れてしまっているのではないでしょうか。そしてお母さんのお腹の中に入る前の、まだお空の上、神様に近い天界にいたころに至っては、まずしっかりと記憶にとどめている人はいないと思います。

ヒプノセラピーでは、退行の中でその記憶を蘇らせ認識することが可能なのです。それを胎児期退行療法といいます。
たとえば、以前私のヒプノセラピスト養成講座を受講して下さった生徒さんの中にこのような方がいらっしゃいました。(30代女性Nちゃん)

「私は自分が女性であることがどうしても受け入れられないのです。女であることに罪悪感のようなものを持っているのです。今まで男性とお付き合いしたこともありません……。」

彼女はカウンセリングの段階では、特にそのような心境になってしまった原因と思われる経験は思い出せませんでした。そしてさっそく退行療法を行い、何が原因となっているのかを探っていきました。すると退行して入った先は、今生の幼少のころでも前世でもありませんでした。お母さんのお腹の中へ入って行ったのです。


「あ、お母さんのお腹の中にいます」

「お母さんのお腹の中の居心地はどう?」

「なんだか悲しいです」

お腹の赤ちゃんはお母さんのお腹の中に居るだけで、悲しい経験を自分がしているわけではありません。けれど悲しみを感じているということは、お母さんの悲しみがそのまま胎児である自分に伝わってしまっているということなのです。赤ちゃんはお母さんのお腹の中にいる間、お母さんと一心同体です。その頃から私たちは、肉体を持ち生かされる存在としての様々な条件付けが始まっているのです。

「どうして悲しいの?」

「お母さんが、おばあちゃんの言葉に傷ついているみたい」

「今お腹の外でどんなことが起きているの?」

「おばあちゃんがお母さんにこう言っています。まったく、女しか産めない駄目な嫁だ!って。お母さんが泣いてる・・・」

「胎児のNちゃんは今どう感じているの?」

「悲しい。私はお母さんを悲しませる悪い子。私が女の子だから」

「じゃあ3つ数えたらお母さんの中に入ってみよう。お母さんはどう感じているのか?1.2.3」

「私は男の子でも女の子でもどちらでも構わない。健康に産まれてきてくれたらそれでいいの。私の愛する子には変わりない」

このセッションの中から、Nちゃんの女性性の否定は、胎児期のころに感じた、お母さんとおばあちゃんのやり取りが原因であったことがわかりました。お母さんが受けた心の傷が、Nちゃんのトラウマになっていたのです。

しかしお母さんは決してNちゃんが女の子であることを否定しておらず、ただ心無い姑の言葉に傷ついていただけということが理解できて、Nちゃんは女性性の否定を解除することができたのでした。

胎児期のころの経験は、心だけではなく、身体的にも母親の精神状態の影響を受けます。過度なストレス状態にあった母体で過ごした胎児は、母親から分泌されるホルモンの影響で心身の成長に深刻な影響を及ぼすことも少なくありません。

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